
事業拡大に伴うインフラ強化では、インフラエンジニアの採用が難航しがちです。とくに正社員採用は時間とコストがかかりやすいため、自社にフィットする人材の確保に苦戦することも。
そこでインフラエンジニアの派遣採用を活用すれば、自社のニーズに適した即戦力を確保できる可能性が高まります。今回はインフラエンジニアを派遣採用するメリットやミスマッチを防ぐための対策を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
インフラエンジニア派遣の単価相場と契約形態
インフラエンジニアの派遣を考えるうえで、まず把握しておきたいのが単価相場と契約形態です。派遣契約の費用感を理解し、自社のプロジェクトに合った契約形態を選ぶことで、ミスマッチを防ぐ人材確保につながります。
正社員採用には時間とコストがかかるため、即戦力となるインフラエンジニアの確保に派遣を活用するケースも少なくありません。まずは公的なデータを基に、エンジニア派遣の平均単価と代表的な契約形態を解説します。
エンジニア派遣の平均単価
エンジニア派遣の平均単価は、ほかの職種と比較して高い水準にあります。専門的な知識や技術が求められるため、対価として料金に反映されているのが主な要因です。
厚生労働省が公表した「労働者派遣事業の事業報告の集計結果(令和5年度)」によると、派遣労働者の1日(8時間)当たりの平均単価は以下のとおりです。
平均単価 1日(8時間)当たり | エンジニア (情報処理・通信技術者) | 全業種 |
---|---|---|
派遣労働者 (全体平均) | 33,387円 | 25,337円 |
無期雇用派遣労働者 | 33,810円 | 26,194円 |
有期雇用派遣労働者 | 31,483円 | 21,307円 |
エンジニア派遣の平均単価は、全業種の平均を上回っています。とくにシステムの根幹を支えるインフラエンジニアの単価は、エンジニア職種の平均値を上回るケースも少なくありません。
派遣会社から見積もりを取得する際には、求めるスキルセットや業務内容を明確に伝えることで、より正確な単価を把握できます。
無期雇用契約と有期雇用契約の違い
派遣会社と派遣エンジニアの雇用関係の違いは、主に「無期雇用派遣」と「有期雇用派遣」の2種類に分かれます。
無期雇用派遣は、派遣会社がスタッフの期間を定めずに雇用する形態です。派遣先での業務が終了しても、スタッフと派遣会社の雇用関係は継続します。
とくにシステムの運用・保守を長期的に任せたい場合は、無期雇用派遣が適しています。別記事でも無期雇用派遣で採用するメリットを詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
一方で有期雇用派遣は、派遣会社とスタッフが一定の業務期間のみ雇用契約を結ぶ形態です。一般的に「登録型派遣」とも呼ばれています。必要な期間だけ人材を確保できるため、短期的なプロジェクトや急な欠員の補充などにおすすめです。
関連記事:インフラエンジニアを無期雇用派遣で採用するメリット|他の契約形態との違いも解説
インフラエンジニアを派遣採用するメリット
インフラエンジニアの派遣採用には、以下のメリットがあります。
- 即戦力の人材を素早く確保できる
- 採用のコスト・期間を柔軟に指定できる
- 知見のない最新技術の対応も任せられる
派遣採用を効果的に活用すれば、事業の成長スピードを落とすことなくインフラ基盤を強化できます。別記事でも派遣会社で採用するメリットを詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:インフラエンジニアを派遣会社で採用するメリット|他の契約との違いも解説
即戦力の人材を素早く確保できる
派遣採用を活用すれば、即戦力となるインフラエンジニアを素早く確保できます。さまざまな実務経験や専門スキルをもつ人材が登録する派遣会社なら、自社が求める要件にマッチしたエンジニア紹介が可能です。
書類選考や面接が求められる正社員採用の場合は、募集を開始してから採用まで数か月を要するケースも少なくありません。さらに入社後には、会社の文化や業務フローに慣れてもらうための研修期間も必要です。
派遣採用であれば、採用(選考)にかかるプロセスを短縮できます。また、即戦力を採用できるため、教育にかかる時間と費用も削減可能です。
採用のコスト・期間を柔軟に指定できる
採用人数と期間をプロジェクトの規模に合わせて設定できるのも、派遣採用のメリットです。プロジェクトが終了すれば契約満了となるため、業務量に合わせてリソースを最適化できます。
正社員を採用する場合は、給与に加えて社会保険料や福利厚生費などの固定費が発生するデメリットの考慮が必要です。派遣採用であれば固定費が派遣料金に含まれているため、自社で直接管理する手間を省けます。
また、繁忙期と閑散期で業務量に幅がある場合は、必要な時期に応じて柔軟な人材確保が可能です。人件費の無駄を削減するだけでなく、プロジェクト全体のコスト最適化につながります。
知見のない最新技術の対応も任せられる
即戦力を期待できる派遣採用であれば、自社に知見がない最新技術の対応も任せられます。とくに以下のような専門性の高い技術に対し、社内の人材だけで最新動向を追い続けると過度な負担がかかるはずです。
- クラウドサービス
- コンテナ技術
- セキュリティ対策
派遣会社には、特定の技術分野に強みのあるエンジニアも在籍しています。派遣されたエンジニアのノウハウを社内共有すれば、自社の技術力向上に貢献するケースも少なくありません。
インフラエンジニア派遣を活用すべき3つの事例
さまざまなメリットがあるインフラエンジニア派遣ですが、自社の状況に適しているかどうかの判断に迷ってしまうこともあるはずです。
そこで、インフラエンジニア派遣を活用すべきかどうかの判断材料として、よくある3つの事例を紹介します。多くの企業が直面しやすい事例を取り上げるので、ぜひ参考にしてみてください。
事業拡大により即戦力の人材確保が求められる場面
短期プロジェクトや繁忙期の急な対応など、インフラ強化では人材リソースの確保が追いつかない状況も多々あります。とくに事業拡大に伴う以下の対応は、インフラへの負荷を考慮して早期対応が求められるケースも少なくありません。
- サーバーの増設
- ネットワークの帯域増強
- データベースの負荷分散
正社員の採用活動は時間がかかりやすく、人材を見つけるまで数か月かかってしまうことも。採用活動中にサービスのパフォーマンスが低下すれば、顧客満足度の低下につながるリスクもあります。
そこで、必要なスキルセットにマッチする人材をスムーズに確保できるインフラエンジニア派遣が効果的です。実務経験が豊富な人材を採用すれば、採用後の研修に時間をかけずに即戦力としての活躍が期待できます。
短期プロジェクトや繁忙期の急な対応が求められる場面
以下のように、短い期間だけ依頼できる人材を求めている企業にもインフラエンジニア派遣がおすすめです。
- 対応期間が限定的な短期プロジェクト
- 一時的な業務量の増加に対応する状況
- 基幹システム入れ替えに伴うインフラ移行
とくにECサイトでは、年末商戦や大規模セールといった一時的なアクセス集中に対する体制強化が求められます。しかし、一時的な業務のために正社員を採用すると、繁忙期の終了後に人員が過剰になる可能性も。
また、既存社員だけで対応すると、本来の業務が滞ったり過度な負担を感じてしまったりする要因になりかねません。必要な期間だけ人材を確保できるインフラエンジニア派遣であれば、契約期間に応じてリソースを無駄なく活用できます。
クラウドやセキュリティの専門スキルが求められる場面
クラウド移行やセキュリティ対策など、自社にノウハウがない専門業務の依頼にもインフラエンジニア派遣が効果的です。とくに近年ではインフラの管理・運用コストを削減するため、多くの企業が自社システムのクラウド移行を実施しています。
出典:総務省|令和6年版 情報通信白書|データ集しかし、AWS・Azure・GCPなどのクラウドサービスを活用するためには、設計・構築や関連サービスのノウハウが必要です。また、コンテナ技術の導入やセキュリティ対策など、専門知識が求められる領域は多岐にわたります。
派遣エンジニアの専門知識を有効活用すれば、自社の内製化を待たずにプロジェクトを進められます。また、プロジェクトに携わる社内エンジニアが新しい技術を学ぶ機会としても有益です。
インフラエンジニアの派遣採用に失敗しないための対策
インフラエンジニア派遣には、即戦力確保やコスト削減といったメリットがあります。しかし、事前の準備や計画が不十分な状況では、スキルや人間関係のミスマッチにつながる可能性も。
インフラエンジニア派遣の失敗を防ぐためにも、以下の対策を理解しておきましょう。
- スキル要件と業務範囲・期間を明確化する
- 指揮命令系統を明確化する
- 社内の受け入れ体制を整える
- ノウハウの蓄積も見据える
スキル要件と業務範囲・期間を明確化する
インフラエンジニア派遣のミスマッチを防ぐためには、以下の要件を具体的に定義すべきです。
- 求めるスキル
- 依頼したい業務範囲
- プロジェクトの参画期間
たとえば「AWSの経験者」と伝えるだけでは、インフラの設計・構築または運用・監視の「どちらを求めているのか」が伝わりません。期待と異なるスキルの人材が紹介されると、プロジェクトが停滞する原因となるケースもあります。
また、業務範囲を明確に線引きしておかないと、オーバースペックな人材に不要なコストが発生する可能性も。依頼内容を詳細に伝えるためにも、インフラに求める要件や課題を明確化しておきましょう。
指揮命令系統を明確化する
派遣されたインフラエンジニアが円滑に業務を進めるためには、指揮命令系統を明確化すべきです。労働者派遣法では、派遣スタッフへの業務指示を担うのは「派遣先の企業」と定められています。責任をもって業務の進捗管理や指示を遂行するためにも、指揮命令者を明確に定めておきましょう。
また、インフラエンジニアは、企業の機密情報や個人情報にふれる機会も少なくありません。情報漏えい対策として、派遣契約とは別に個別の機密保持契約(NDA)を締結しておきましょう。情報管理に関するルールを共有しておくと、セキュリティリスクを低減できます。
社内の受け入れ体制を整える
派遣されたインフラエンジニアのスキルを最大限に発揮するには、社内の受け入れ体制を整えておく配慮も求められます。業務に必要なPCや各種システムへのアクセス権限など、初日から業務に着手できる準備を整えましょう。
また、派遣エンジニアが職場で孤立しないためのコミュニケーションも、配慮しておきたい観点です。外部の人間という立場では、質問や相談がしづらいと感じるケースも少なくありません。
受け入れ部署のメンバー紹介や定期的なミーティング参加など、早期の関係構築にはチームの一員として歓迎する姿勢が大切です。
ノウハウの蓄積も見据える
インフラエンジニア派遣を活用するなら、契約期間の終了後を見据えて社内にノウハウを蓄積する仕組みづくりも大切です。派遣契約は期間が定められているため、担当者が入れ替わると業務がブラックボックス化してしまう恐れがあります。
設定手順やトラブルの対処方法を社内に蓄積しないと、同様のプロジェクトが開始するたびに外部に頼らざるを得ません。そこで、以下のように業務のドキュメント化も含めて依頼を計画してみましょう。
- サーバーの構成図
- 設定・運用マニュアル
- トラブル対処の履歴・手順書
ドキュメントを成果物として依頼すれば、派遣契約の終了後も社内の担当者が業務を引き継げます。契約満了時に慌てないためにも、後任担当者と並走する期間を設けておくのが効率的です。
インフラエンジニア派遣の依頼先を選ぶポイント
インフラエンジニア派遣を成功させるには、自社のニーズに合った派遣会社選びが欠かせません。派遣会社に紹介される人材によって、プロジェクトの成果が大きく変わる可能性もあります。
ここからは自社に適した依頼先を選ぶ3つのポイントを紹介します。エンジニアのスキルやサポート体制などを比較しながら、信頼できる派遣会社を選びましょう。
実績や導入事例から強みのある技術領域をチェック
まずは派遣会社の実績や導入事例をチェックしましょう。公式サイトに掲載されている情報を確認すると、強みのある技術領域や業界を把握できます。
たとえば「オンプレミス環境からAWSへの移行」を計画しているのであれば、同様の移行プロジェクトの実績がある会社は信頼できる依頼先候補です。自社の事業内容やプロジェクトに近い事例を確認すると、効率的に依頼先を絞り込めます。
また、問い合わせの際には、自社が抱える課題を具体的に伝えるのが効果的です。派遣会社の提案内容から専門性や問題解決力を判断すれば、ミスマッチのないインフラエンジニア派遣につなげられます。
所属エンジニアの経験年数や保有スキルをチェック
派遣会社に所属するインフラエンジニアの経験年数や保有スキルをチェックするのも選定のポイントです。経験豊富なエンジニアが在籍している会社であれば、より高度な要件にも対応してもらえる可能性が高まります。
派遣会社に問い合わせる際には、以下の要件を具体的に伝える意識も重要です。
- 対応できる業務範囲
- 使用できるツール
- 稼働できる日数・時間
- 希望する働き方(出社かリモートワークか)
可能であればスキルシートを提示してもらい、候補となるエンジニアの経歴を詳しく確認しましょう。過去に携わったプロジェクトの規模や役割まで深掘りすると、エンジニアのミスマッチを防げます。
派遣会社の教育制度やフォロー体制をチェック
派遣会社の教育制度やフォロー体制も忘れずに確認したいポイントです。
技術研修や資格支援といった教育制度を整えている派遣会社であれば、質の高い人材紹介を期待できます。また、プロジェクトの円滑な進行を期待するなら、ヒューマンスキルに関する研修を実施しているかどうかも注目しましょう。
また、派遣契約が開始してからのフォロー体制も重要です。派遣会社が定期的に状況を確認しながら、派遣エンジニアと派遣先企業の双方をサポートしてくれる体制が整っていると安心して業務を任せられます。
派遣期間中のトラブルを最小限に抑えるためにも、契約前には以下のポイントを確認しておきましょう。
- ミスマッチが発生した担当者の交代を相談できるか
- トラブルが発生した際に相談できる窓口があるか
採用基準の判断に迷ってしまうときはフリーランスエンジニアの活用もおすすめ
インフラエンジニア派遣を検討するなかで、依頼する派遣会社や紹介された人材の見極めに悩む場面も少なくありません。派遣会社の実績やエンジニアのプロフィールを確認しても、自社の要件に「本当にマッチするのか」と確信をもてないケースもあるはずです。
もし、選定プロセスや契約形態の判断に難しさを感じてしまう場合は、フリーランスのインフラエンジニアを活用するのもおすすめです。フリーランスのエージェントサービスを利用すれば、自社のニーズに適したエンジニアを厳選してくれます。
エージェントのエンジニア紹介を活用すれば、スキルを評価する採用プロセスの効率化はもちろん、ミスマッチのリスクも低減可能です。とくにフリーランスは特定の技術領域で高い専門性を磨いてきた人材も多いため、派遣では見つけにくいニッチなスキルのあるエンジニアと出会える可能性も高まります。
別記事でもインフラエンジニア採用にエージェントを活用するメリットを解説しているので、自社の状況に適した人材確保の方法を検討してみてください。
関連記事:インフラエンジニア採用にエージェントを活用するメリットと選び方を解説
インフラエンジニアのリソース不足を解消するなら「クロスネットワーク」がおすすめ
インフラエンジニアの人材不足を解決するため、派遣活用のメリットや依頼先の選び方などを解説してきました。プロジェクトの期間や予算に応じて即戦力となる人材を確保するなら、インフラエンジニア派遣が有効な手段です。
しかし、自社の要件にマッチする派遣会社やエンジニアを慎重に見極め、受け入れ体制を整える事前準備も欠かせません。採用判断や体制構築に負担を感じる場合は、フリーランスのインフラエンジニアに依頼する選択肢もおすすめです。
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元エンジニアのWebライター。自動車部品工場のインフラエンジニアとして、サーバー・ネットワークの企画設計から運用・保守まで経験。自分が構築したインフラで数千人規模の工場が稼働している達成感とプレッシャーは今でも忘れられない。