キッティング代行とは?メリットや活用が適しているケースなどを紹介

キッティング代行とは?メリットや活用が適しているケースなどを紹介

INDEX

新拠点の設立や自社人材の増員に伴い、大量のキッティングを控えている企業は多いかと思います。社内の人材不足と厳しい期日の影響もあるため、代行サービスに依頼を検討している担当者もいるでしょう。

そこで、本記事では以下の内容について解説します。

  • キッティング代行のサービス内容・費用相場
  • キッティング代行を活用するメリット・デメリット
  • キッティング代行への依頼が適しているケース
  • キッティング代行に依頼する場合のスケジュール感

あわせて、キッティング代行が自社の要件にマッチしない場合の選択肢として、フリーランスの活用が有効な理由も解説します。ぜひ参考にしてください。

キッティング代行とは|業務で端末を利用するために設定を委託するサービス

キッティング代行とは、専門業者に業務端末を使用できる状態に設定する作業を委託するサービスのことです。

企業のシステムが安定稼働できるよう、端末の初期設定から運用開始まで一貫して担当します。新入社員の受け入れやOS更新、事業拡大など、大量の端末を短期間で準備しなければならない場面で活用されています。

作業範囲

キッティング代行は、以下のような幅広い作業に対応しています。

キッティング代行の作業範囲表

作業カテゴリ

主な作業内容

OS関連

  • Windows、Mac、iOS、Androidなど各OSの初期設定
  • 最新のセキュリティパッチやアップデートの適用

ソフトウェア

  • Microsoft Office、ウイルス対策ソフト、社内業務システムなどのインストール
  • 各種ライセンス認証

セキュリティ設定

  • ウイルス対策ソフトの導入
  • ファイアウォール設定
  • 暗号化設定
  • 企業のセキュリティポリシーに基づく各種設定

ネットワーク設定

  • Wi-Fi接続設定
  • 有線LAN設定
  • VPN設定
  • プロキシ設定
  • メールアカウント設定

周辺機器

プリンター、スキャナー、キーボード、マウスなどの接続・動作確認

資産管理

  • 資産管理ラベルやシールの貼付
  • 資産管理番号やバーコードの設定
  • 資産管理台帳の作成
  • 配布記録の管理

検品・配送

  • 動作確認と検品作業
  • 各拠点への配送
  • 現地での設置作業

ライフサイクル管理

  • 在庫管理
  • 旧機器の回収
  • データ消去
  • 廃棄処理

キッティング代行は端末の初期設定から配送、廃棄まで、端末導入に関する多様な作業を担っています。OS設定やソフトウェアインストールを初め、セキュリティ対策、ネットワーク設定、資産管理まで一貫してサポートしてもらえるため、社内担当者の負担を大幅に軽減できます。

料金相場

キッティング代行の料金相場は、作業内容や規模によって変動しますが、目安を知っておくことで予算を見積もりやすくなります。

PCキッティングの基本料金は、1台あたり3,000円から6,000円が相場で、OSの初期設定、基本的なソフトウェアのインストール、ネットワーク設定などが含まれることが一般的です。スマートフォンやタブレットのキッティングは、PCよりも作業が簡単なケースが多いため、1台あたり2,000円程度と比較的安価です。

大量発注の場合は1台あたりの単価が下がる傾向があり、交渉次第でコストを抑えられる可能性もあります。

キッティング代行に依頼するメリット

キッティング代行を活用する主なメリットは以下のとおりです。

  • 作業負荷を大幅に軽減できる
  • 作業品質を均一化できる
  • 短期間で大量のキッティングを実現できる

とくに人手不足や大量導入が必要なタイミングでおおきな価値を発揮します。

作業負荷を大幅に軽減できる

通常業務と並行してキッティングを行うと、本来の業務に支障をきたす可能性があります。

1台あたりの所要時間の目安は手作業だと2~3時間かかるため、数十台ともなれば膨大な時間が必要になります。キッティング中は、ヘルプデスク対応やシステム管理などの業務が滞るかもしれません。

キッティング代行を利用すれば、システム障害の対応、セキュリティ対策の強化、新しいシステムの導入など、本来注力すべき重要な業務に時間を使えるようになるでしょう。結果としてチーム全体の生産性が向上し、より戦略的な施策に取り組める環境が整います。

作業品質を均一化できる

キッティング代行を利用することで、すべての端末に対して同じ品質の設定を適用できます。

専門業者は標準化された手順で作業を実施するからです。社内でキッティングを行う場合、担当者のスキルや経験によって作業の質にばらつきが生じることがあります。

設定漏れやインストールミスなどのヒューマンエラーが発生すると、後から修正する手間がかかり、業務に支障をきたします。複数担当者で作業する場合は、さらに品質のばらつきがおおきくなることも考えられるでしょう。

キッティング代行であれば、専門知識をもった技術者が正確に設定を行います。Windows 11の最新機能やセキュリティ設定など、専門的な知識が必要な作業も確実に実施してくれます。

短期間で大量のキッティングを実現できる

キッティング代行は、大規模なキッティング作業に対応できる設備と人材を備えているため、短納期での遂行を実現できる可能性が高いです。

たとえば、数百台のPCを数日でキッティングする必要がある場合、2,3名の担当者で対応するのは現実的に難しいでしょう。しかし、キッティング代行なら、より多くの人数で同時並行で作業を進めるので短納期でも対応可能です。

また、綿密なスケジュール管理によりリアルタイムで進捗を共有してもらえることもあるため、安心してプロジェクトを進められるはずです。

キッティング代行に依頼するデメリット

キッティング代行サービスには多くのメリットがある一方で、以下のように導入前に知っておくべきデメリットも存在します。

  • 情報漏洩の可能性が残る
  • 要件の伝達ミスや認識のズレが発生するリスクがある
  • キッティングのノウハウが蓄積されにくい

セキュリティ、コミュニケーション、自社の技術力向上の観点から、それぞれのリスクを理解しておくことが大切です。

情報漏洩の可能性が残る

企業の機密情報や個人情報を扱う端末を外部に委託するため、セキュリティ対策が不十分な業者を選んでしまうと情報流出の可能性があります。とくに、顧客データや社内の機密文書が端末に保存されている場合、万が一の漏洩は企業の信頼に影響するでしょう。

情報漏洩時の責任範囲や補償内容を契約書に明記することが不可欠です。漏洩が発生した場合、キッティング代行がどこまで責任を負うのか、損害賠償の上限額はいくらかといった点を契約前に明確にしておかないと、あとでトラブルに発展する可能性があります。

セキュリティ対策は業者選定の最重要項目の一つと考え、慎重に判断しましょう。

要件の伝達ミスや認識のズレが発生するリスクがある

社内で作業する場合と比べて、キッティング代行とのコミュニケーションが増加する可能性があります。

社内であれば担当者同士が直接話し合い、その場で疑問点を解消できますが、外部業者とのやり取りは書面やメールが中心となるため、認識の齟齬が発生するかもしれません。

細かい設定内容や要望が正確に伝わらない可能性も考慮すべきです。たとえば、自社独自のセキュリティ対策やアプリのインストールなど社内では一般的な設定でも、仕様書に記載がなければ業者は対応できないかもしれません。

また、業者の理解不足により設定ミスや手戻りが発生するリスクもあります。業者が社内のIT環境やセキュリティポリシーを十分に理解していない場合、想定と異なる設定がされてしまうことがあります。

キッティングのノウハウが蓄積されにくい

代行業者に依存するとキッティングの知識・経験が蓄積されず、将来的な自立が困難になるかもしれません。長期間外部への委託を続けると、社内の担当者はキッティングの具体的な手順を知らないまま業務を続ける可能性が高いです。

長期的には組織のIT対応力の低下につながる可能性があります。大半のキッティングを外部の委託先に依存すると、社内のIT部門が単なる窓口業務だけを担当する形になり、技術力が低下するかもしれません。

自社のキッティングスキルを維持するために、代行業者から定期的にナレッジ共有の機会を設けてもらいましょう。契約の中に、定期的な技術研修の開催を明記することで社内の対応力向上を実現できるはずです。

キッティング代行への依頼が適しているケース

キッティング代行の活用が適しているケースは、主に以下の3つです。

  • 大量の端末を短期間で導入したい
  • 専門的な設定や高度なセキュリティが必要
  • 資産管理や廃棄作業まで委託したい

規模、納期、専門性の観点から、自社対応か外注かの判断基準を明確にしておきましょう。適切な判断をすることで、キッティング費用対効果を最大化することができます。

大量の端末を短期間で導入したい

数十台以上の端末を短期間で準備しなければならない場合、キッティング代行は効果的な選択肢です。

数十台から数百台規模になると、社内の人員だけでは物理的に対応しきれません。複数の担当者で分担しても通常業務への影響はでます。加えて、入社日や事業開始日が決まっている場合だと遅延は認められないでしょう。

キッティング代行であれば多くの人員を確保し専門技術を使って効率的に作業を進めてくれます。

専門的な設定や高度なセキュリティが必要

社内に専門知識をもつ人材がいない場合もキッティング代行の活用が有効です。具体的には下の表のような設定作業が伴う場合に適しています。

専門分野

具体的な作業内容

想定される業界・用途

モバイルデバイス管理

  • MDM(モバイルデバイス管理
      システム)の設定
  • 端末の一元管理
  • 遠隔操作の設定

スマートフォンやタブレットを多数導入する企業

エンタープライズセキュリティ

  • 複雑な暗号化設定
  • コンプライアンス対応
  • 厳格なセキュリティ基準への準拠

金融機関、医療機関など高度なセキュリティが求められる業界

複雑なネットワーク環境

  • VPN設定
  • プロキシ設定
  • 複数のネットワークセグメント
      への対応

多拠点展開している、複雑なネットワーク構成をもつ組織

最新セキュリティ技術

  • ゼロトラストセキュリティの実装
  • 多要素認証の設定
  • エンドポイント保護の導入

最新のセキュリティ対策が急務な企業

業界規制・ガイドライン

  • 個人情報保護法対応
  • 業界特有の規制への対応

規制の厳しい業界(医療、金融、公共機関など)

社内に専門知識をもつ人材がいない場合、上記のような高度な設定や対応が必要なケースではキッティング代行への委託が推奨されます。とくに、金融機関や医療機関のように厳格なセキュリティ基準が求められる、業界特有の規制への準拠が必要、といったケースに効果的です。

資産管理や廃棄作業まで委託したい

下の表のように、資産管理や廃棄作業などライフサイクル管理を委託したい場合も、キッティング代行が有効です。

依頼項目

具体的な依頼内容

目的・メリット

在庫・資産管理

  • 在庫保管
  • 資産管理台帳の作成・更新
  • 端末の配備場所の管理
  • リース契約終了時期の管理
  • 保証期間の管理
  • 管理情報の一元化
  • 管理負担の軽減

定期管理

  • 定期的な棚卸し・動作確認
  • 長期保管時の再検査
  • 予備機の管理
  • リース返却待ち端末の管理

端末の適切な管理と稼働状態の維持

廃棄・回収

  • 旧機器の回収
  • データ消去
  • データ消去証明書の発行
  • 適切な廃棄処理
  • 情報漏洩リスクの低減
  • 安全な廃棄の実現

コンプライアンス対応

  • 環境法規制に準拠した廃棄
  • 家電リサイクル法対応
  • 廃棄物処理法対応
  • 法的責任の回避
  • コンプライアンス遵守

拠点管理

  • 各拠点に散らばった端末の回収
  • 返却キットの各拠点への送付
  • 効率的な返却フロー構築

全国拠点での回収作業の効率化

キッティングから廃棄まで同じ代行業者に任せることで、窓口を一本化できます。長期的なパートナーシップを構築し、IT資産管理を最適化したい企業におすすめです。

キッティング代行を利用する全体スケジュールの目安

キッティングは大量の端末を短期間で行う必要があるため、期日を踏まえた工程管理が不可欠です。ここではキッティング代行に依頼するときの全体のスケジュールの目安を解説します。

時期

フェーズ

主な作業内容

3〜6か月前

業者選定と見積もり取得

  • 公式サイトで実績、対応規模、
      セキュリティ体制などをリサーチ
  • 要件に適した業者を選定
  • 相見積もりを取得して比較表を作成
  • 担当者と面談して対応力や相性を確認

2〜3か月前

社内承認と契約締結

  • 上司や経営層への提案資料を作成
  • 選定した業者と契約交渉
  • 契約書の内容を精査
  • キックオフミーティングを実施

1〜2か月前

キッティング仕様の詳細決定とマスターPC作成

  • ソフトウェアリスト、バージョン、
      ライセンス情報を記載
  • ネットワーク設定情報を文書化
  • セキュリティポリシーと設定要件
      を明記
  • マスターPCのレビューと動作確認

1か月前

業者へ端末納品と作業開始

  • 端末を代行業者へ送付
  • 定期的なミーティングで進捗確認
  • スケジュール遅れがある場合は
      対策を協議

2〜3週間前

キッティング作業完了と検収

  • 業者側で最終検品と動作確認
  • サンプル機を受け取って検収
  • 不具合があれば修正依頼

1週間前

各拠点への配送

  • 配送先リストに基づき各拠点へ発送
  • 梱包内容の確認と開梱作業
  • 簡易的な動作確認を現地で実施
  • ユーザーへの使用開始案内を配信
  • マニュアルやFAQを用意

3〜6か月前:業者選定と見積もり取得

主なキッティング代行の公式サイトをチェックし、実績、対応規模、セキュリティ体制をリサーチしましょう。

自社の要件に適していそうな代行業者を選定し、相見積もりを取得して、料金とサービス内容を比較することが重要です。同じ条件でも業者によって料金に差があるため、比較表を作成することで客観的に評価できます。

実際に担当者と面談して対応力や相性を確認することも欠かせません。メールのやり取りだけでは分からない、担当者の人柄や提案力を見極められるからです。

また早めに選定することで、良い条件を引き出せる可能性が高くなります。新入社員の入社や決算期前後などの繁忙期は代行業者も混み合うため、早めに相談しておくことで優先対応してもらえるかもしれません。

2〜3か月前:社内承認と契約締結

社内承認の取得は想定以上に時間を要する可能性があるので、上司や経営層への提案資料を作成する段階から丁寧に準備を進めることが重要です。

社内の承認後、選定した業者と契約交渉を開始します。契約書の内容を精査し、作業範囲、納期、費用、責任範囲が明確に記載されているか確認しましょう。「想定外の追加費用が発生しないか」「納期遅延時のペナルティはあるか」といった細かい条件も漏れなく記載することが重要です。

契約締結後はキックオフミーティングを実施して、プロジェクトを正式にスタートさせます。

1〜2か月前:キッティング仕様の詳細決定とマスターPC作成

キッティング仕様書を詳細に作成するときには、インストールするソフトウェアのリストと設定内容を明確化しましょう。Microsoft Office、ウイルス対策ソフト、社内システムのクライアントアプリなど、すべてのソフトウェアをリストアップし、バージョンやライセンス情報も記載します。

Wi-FiのSSIDとパスワード、プロキシ設定、VPN接続情報など、ネットワークに関するすべての情報を文書化・整理して代行業者に提供します。

また、セキュリティポリシーと設定要件を文書化することも重要です。パスワードの複雑性要件、ファイアウォール設定、暗号化の有効化など、企業のセキュリティ基準に沿った設定内容を明記します。

そして、代行業者がマスターPC(※)を作成する段階に入りますが、レビューと動作確認を必ず実施しましょう。実際に操作して、すべての設定が仕様書通りになっているか、ソフトウェアが正常に動作するか、ネットワークに接続できるかを確認します。

修正が必要な場合はフィードバックして調整してもらいます。「ブラウザのお気に入りが登録されていない」「プリンター設定が不足している」といった細かい点も修正が必要です。

(※)マスターPC:すべての設定を完了したひな形となるPC

1か月前:業者へ端末納品と作業開始

キッティングの仕様を決定したら代行業者へ端末を送り、作業を行ってもらいます。

なお作業期間中に進捗状況を報告してもらうことが重要です。定期的にミーティングを実施して、何台完了したか、予定通り進んでいるか、問題は発生していないかを確認します。「端末の初期不良が1台発見された」「予定していたソフトウェアのライセンスが不足している」といった問題が起きた場合、早期に対応できます。

スケジュールどおりに進捗しているか確認し、遅れが出ている場合は対策を協議しましょう。

2〜3週間前:キッティング作業完了と検収

業者側で最終検品と動作確認が行われるので、すべての端末が正常に動作するか、設定に漏れがないかを業者がチェックします。具体的にはサンプル機を受け取って、以下のような項目を詳細に検収します。

検収項目

確認項目

具体的なチェック内容

設定内容の確認

  • 仕様書との照合
  • インストールソフトウェア
  • ネットワーク設定
  • セキュリティ設定

すべての項目がチェックリストに沿って正しく設定されているか確認

ネットワーク接続テスト

  • 社内ネットワーク接続
  • 業務システムへのアクセス
  • ファイルサーバーへの
      アクセス

実際に接続し、ログインやアクセスが正常に行えるか確認

周辺機器連携確認

  • プリンター接続
  • スキャナー認識
  • その他業務用機器

実際の業務で使用する機器との連携が正常に動作するかテスト

設定内容の仕様書との照合、ネットワークや業務システムへの実際の接続テスト、周辺機器との連携確認を漏れなく実施しましょう。納品後のトラブルを未然に防ぎ、業務開始日からスムーズに端末を使用できる状態を確保できます。

1週間前:各拠点への配送

配送先リストに基づき、本社、支社、営業所など、それぞれの拠点に必要な台数の端末を発送します。代行業者には配送スケジュールと追跡番号を共有してもらい「いつ、どこに、何台発送したか」を把握することで各拠点での受け取り準備ができます。

梱包内容の確認と開梱作業も重要で、端末本体だけでなく、ACアダプター、マウス、マニュアルなど、すべての付属品が揃っているか確認しましょう。簡易的な動作確認は現地で実施し「電源を入れて正常に起動するか」「ネットワークに接続できるか」など基本的な動作をテストします。

最後に導入日に向けて最終準備を整えます。ユーザーへの使用開始案内を配信し「4月1日から新しいPCを使用開始します」といった連絡を行います。マニュアルやFAQを用意しておけば、ユーザーからの問い合わせにもスムーズに対応できます。

自社の要件に適したキッティング代行を選ぶ方法

キッティング代行を選ぶときには予算、納期、導入台数など自社のニーズに合致しているかが重要です。自社の要件に適したキッティング代行を選ぶ主な方法は以下のとおりです。

  • 対応可能な規模と納期実績をリサーチする
  • セキュリティ体制をチェックする
  • 納品後のサポート内容を確認する
  • 同じ条件で複数社と比較検討する

対応可能な規模と納期実績をリサーチする

自社の導入予定台数に対応できる業者かどうかを確認する必要があります。

業者によって得意とする規模が異なるため、ミスマッチを防ぐことが重要です。とくに数百台以上の大規模案件での実績があるかがポイントで、公式サイトの導入事例に具体的な台数と納期が記載されているかを確認しましょう。

希望納期に対応可能かどうかも重要なポイントで「4月1日までに50台納品」といった具体的な希望を伝えて対応可能かを確認します。繁忙期である3月から4月は業者も混み合うため、早めに相談することをおすすめします。

セキュリティ体制をチェックする

企業の機密情報や個人情報を扱う端末を預けるため、セキュリティ対策が不十分な業者は選べません。具体的に確認すべき主な項目を下の表にまとめました。

確認項目

チェック内容

確認のポイント

ISO27001認証

情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格取得状況

取得している業者は一定レベル以上のセキュリティ管理体制をもっている

プライバシーマーク

個人情報保護に関する認証取得状況

取得企業は個人情報保護の体制が整っている

入退室管理

  • 生体認証、静脈認証、カードキー
      などの導入状況
  • 厳格な入退室管理システムの有無

キッティングルームへのアクセス制限が適切に行われているか

監視体制

  • 監視カメラ、全方位IPカメラの
      設置状況
  • 24時間録画の実施
  • 録画データの保存期間

作業エリア全体が常時監視されているか

外部監査

  • 第三者機関による定期監査の実施
  • 抜き打ち検査の有無

定期的に外部からチェックされている業者はより信頼性が高い

作業場所の視察

  • 現地訪問の可否
  • 実際の作業環境の確認

書面やインターネットの情報だけでなく作業現場を視察することも重要

データ消去手順

  • 作業完了後のデータ消去方法
  • 消去証明書の発行

端末返却時の手順が明確に定められているか

情報漏洩時の補償

  • 損害賠償の上限額
  • 補償範囲
  • 契約書への明記

万が一の事態に備えた補償内容が明確か

企業の機密情報や個人情報を扱う端末を預けるため、上記の項目を網羅する必要があります。とくに認証の取得状況、入退室管理や監視体制などの物理的セキュリティ、外部監査の実施状況を確認することで、業者のセキュリティレベルを総合的に判断できます。

必要に応じて作業場所の視察も検討しましょう。

関連記事:ITインフラにおけるセキュリティとは?重要性と企業の被害事例・対策も解説

納品後のサポート内容を確認する

納品後のサポート体制は、長期的なパートナーシップを構築するうえで欠かせない要素です。サポート内容で主に確認すべき項目は以下のとおりです。

確認項目

具体的なチェック内容

確認のポイント

問い合わせ窓口

  • 電話、メール、チャットなど
      複数の連絡手段
  • 対応時間
      (営業時間内、24時間など)

トラブル発生時にすぐ連絡できる体制が整っているか

対応スピード

  • 即時対応の可否
  • 24時間以内対応の保証

緊急時にどの程度のスピードで対応してもらえるか

エスカレーションフロー

  • 一次対応の範囲
  • 二次対応、三次対応への
      移行体制
  • スムーズなエスカレーション
      の仕組み

複雑な問題が発生した際の対応体制が整っているか

リモート・現地対応

  • リモート対応可能な範囲
  • 現地対応が必要なケース
  • 出張費用

どのようなトラブルまでリモートで対応可能か

交換・修理対応

  • 初期不良発生時の交換期間
  • 代替機の用意
  • 修理対応の手順

不具合発生時に迅速に対応してもらえるか

保証内容

  • 保証期間
  • 無償対応の範囲
  • 具体的な保証内容

「納品後3か月以内の設定ミスは無償で修正」など具体的な内容を確認

定期メンテナンス

  • OSアップデート対応
  • セキュリティパッチ適用
  • 定期的なサポート

納品後も継続的なメンテナンスを受けられるか

ヘルプデスク機能

  • コールセンターの有無
  • エンドユーザーからの
      問い合わせ対応
  • ヘルプデスク運用の提供

社内担当者の負担を軽減できるか

継続的パートナーシップ

  • 将来的な端末追加への対応
  • リプレイス時のサポート
  • 長期的な関係構築の可能性

単発の取引ではなく、継続的にサポートしてもらえるか

トラブル発生時の連絡手段や対応スピード、エスカレーションフローに加え、リモートと現地対応の区分、交換・修理の手順、保証内容などを明確にしておくことが重要です。さらに、定期メンテナンスやヘルプデスク機能の提供があれば、社内担当者の負担を軽減できるでしょう。

同じ条件で複数社と比較検討する

複数社から見積もりを取得することをおすすめします。すべての業者に同じ条件(台数、納期、作業内容)を提示し、以下のように比較表を作成して価格とサービス内容を可視化することが重要です。

業者名

基本料金
(1台)

対応規模

納期

セキュリティ

サポート

総合評価

A社

4,000円台

10〜500台

2週間

ISO取得済

24時間対応

★★★★☆

B社

3,500円

50〜1,000台

3週間

Pマーク有

営業時間内

★★★☆☆

C社

5,000円

5〜200台

1週間

ISO・Pマーク両方

即時対応

★★★★★

品質、サポート、実績などの要素を総合的に評価し、費用対効果の高い業者を選びましょう。

キッティング代行以外でおすすめの委託先

キッティング代行には短納期での大量導入や専門技術の活用といったメリットがありますが、導入の規模感や契約期間の面で適さないケースもあります。ここでは、キッティング代行以外でおすすめの委託先を紹介します。

自社の状況や予算、プロジェクトの規模にあわせて、最適な委託先を検討しましょう。

PCレンタル会社

PCレンタル会社は、端末のレンタルとキッティングをセットで提供していることもあり、初期投資を抑えたい場合に有効な選択肢です。端末の調達、キッティング、回収まで一貫してサポートしてもらえ、使用後は返却するのみなので廃棄の負担も軽減されます。

メリットは月額料金で利用できる点で、初期コストを抑えることが可能です。ただし、長期利用では購入より高コストになる可能性があります。数年以上の長期利用を前提とする場合、トータルコストを計算すると購入の方が安くなることも珍しくありません。

また、在庫状況により希望の機種が確保できないこともあります。人気の機種は在庫切れになることもあるため、早めの予約が必要です。

派遣会社

IT人材の派遣会社を通じて、キッティング要員を確保する方法もあります。

代行業者と異なり社内でキッティングをするため、機密情報を外部に出すリスクを抑えられます。また繁忙期だけスポットで人員を増強できるのもメリットで、新拠点設立や新入社員入社日までの数か月間といった特定の期間に依頼することが可能です。

ただし、派遣スタッフのスキルが均一でないケースがあるため、事前にスキル要件を明確に伝えることが重要です。

また自社に指揮命令権があるため、作業指示や進捗管理の手間が増える可能性があります。作業の優先順位や急な変更依頼がしやすいというメリットはありますが、専門人材が社内にいないと作業計画に支障をきたすかもしれません。

関連記事:インフラエンジニアを派遣会社で採用するメリット|他の契約との違いも解説

SES

SESは専門スキルのあるエンジニアを準委任契約で活用できるサービスのことです。

メリットは提供されるエンジニアは技術力が高い傾向にあることで、キッティングだけでなく、高度なネットワーク設定や不具合対応、セキュリティ対策といった課題解決において有効です。指揮命令権がSES企業にあるため、専門的な指示が難しい企業でも依頼しやすいと言えます。

デメリットは、他のプロジェクトとの兼ね合いでリソースの確保が難しい場合があることです。繁忙期には自社の要件に合致した技術者を確保できず、大量のキッティング案件に対応できないリスクがあります。

フリーランス

フリーランスは。個人で企業や組織と業務委託契約を結んで案件を請け負う人材のことで、契約条件の柔軟性の面で近年注目されています。

とくに小規模かつスポット依頼の案件に適しているのがメリットです。キッティング代行では最低発注台数が設定されていることが多く、契約期間の変更に融通が利かないケースも少なくありません。フリーランスであれば「1週間で20台のキッティングを依頼したい」といった活用が可能です。

ただし、個人との直接契約になるため技術力やヒューマンスキルの見極めが不可欠です。キッティング代行のように組織的な品質管理体制がないため、過去の実績やレビュー、ポートフォリオを通じて、必要な人材を精査しましょう。

関連記事:インフラエンジニアへの外注とは?業務委託のメリットとおすすめのエージェントも紹介

キッティングに精通したフリーランスを探すならクロスネットワークがおすすめ

本記事では、キッティング代行の概要、メリット・デメリット、活用が適しているケース、全体のスケジュール感、業者を選ぶポイントなどを解説しました。

キッティング代行は、専門人材を活用して大量のキッティングを短期間で行ってくれるため、不足している社内リソースの補填や設定ミスのリスク低減などを実現できます。一方、最低台数の制約や契約に関する擦り合わせの手間がおおきい側面もあります。

自社の依頼要件にキッティング代行が適していない場合は、契約の柔軟性やコストパフォーマンスに優れたフリーランスの活用が有効です。とくに、セキュリティ対策やネットワーク構築などの知見が必要だと、インフラエンジニアのサポートが欠かせません。

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喜多村道秋
記事を書いた人
喜多村道秋

新卒で大手インフラ企業に入社。約12年間、工場の設備保守や運用計画の策定に従事。 ライター業ではインフラ構築やセキュリティ、Webシステムなどのジャンルを作成。「圧倒的な初心者目線」を信条に執筆しています。

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