インフラエンジニアとセキュリティエンジニアの違いと課題別役割分担を解説

インフラエンジニアとセキュリティエンジニアの違いと課題別役割分担を解説

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近年のサイバー攻撃や情報漏えいの増加を受け、自社のIT体制に不安を抱く経営者や部門責任者は少なくありません。
取引先からセキュリティ対策を求められる場面も増え、インフラやセキュリティの整備は企業規模を問わず重要な経営課題となっています。

本記事では、現役インフラエンジニアが、インフラエンジニアとセキュリティエンジニアの違いや役割を明確にし、課題別に必要な人材やその確保手段を専門的な視点で解説します。
ぜひ自社に適した体制づくりの参考にしてみてください。

企業におけるITインフラ・セキュリティ対策の重要性

顧客情報の管理、製品・サービスの提供、社内コミュニケーションなどあらゆる業務プロセスがITシステム上で稼働しているため、安定したインフラ基盤と強固なセキュリティ体制は事業継続性の確保に不可欠な時代になりました。
この章では、セキュリティインシデントの増加傾向と取引先を巻き込むリスク、そして人的リソースと体制整備の重要性について解説します。

関連記事:ITインフラにおけるセキュリティとは?重要性と企業の被害事例・対策も解説

セキュリティインシデントの増加傾向

サイバー攻撃の手法は日々巧妙化しており、セキュリティインシデントの発生件数は増加傾向にあります。

【グラフ】国内組織におけるサイバー攻撃被害公表件数の推移▲出典:トレンドマイクロ2024年の国内法人組織より公表されたセキュリティインシデントの総数は、2023年の1.5倍にあたる587件と大幅に増加しました。
これはランサムウェアや標的型攻撃など、組織に深刻な被害をもたらすサイバー攻撃が増加していることを示唆しています。
もはや規模の大小に関わらず、あらゆる企業がサイバー攻撃の標的となる可能性があると言えるでしょう。

取引先を巻き込む被害リスク

セキュリティインシデントは、自社だけでなく取引先にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。

【グラフ】サイバーインシデントによる取引先への影響▲作成参考:情報処理推進機構

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の調査によると、2023年度にサイバーインシデントの被害を受けた企業のうち、全体の約3割に相当する「特になし」を除くと、約7割が「取引先に影響があった」と回答しています。
ひとたびセキュリティインシデントが発生すると、サプライチェーン全体に影響が波及し、事業の継続性だけでなく企業の信用も大きく損なわれる危険性があります。

人的リソースと体制整備の必要性

セキュリティインシデントの増加や取引先への影響リスクの高まりを受け、企業はITインフラとセキュリティ対策にこれまで以上に注力する必要性に迫られています。
しかし、専門知識をもつ人材の不足組織的なセキュリティ体制の未整備など、多くの企業が課題を抱えています。
限られたリソースの中で効率的にセキュリティ対策を推進するためには、専門家による適切なアドバイスやサポートに加えて自社に最適な人材の確保が不可欠です。

インフラエンジニアとセキュリティエンジニアの役割の違い

インフラエンジニアとセキュリティエンジニアはどちらもITシステムに欠かせない存在ですが、その役割は大きく異なります。
それぞれの役割の違いを理解することで、自社に必要な人材を適切に見極めることができるでしょう。

項目

インフラエンジニア

セキュリティエンジニア

主な役割

システム基盤の構築・運用

システムセキュリティの確保

具体的な業務

  • サーバー構築・設定
  • ネットワーク設計・構築
  • データベース設計・管理
  • システムパフォーマンス監視
  • セキュリティ対策
  • 障害対応
  • セキュリティポリシー策定
  • 脆弱性診断
  • セキュリティシステム導入・運用
  • セキュリティインシデント対応

関連記事:システムエンジニアとインフラエンジニアの違いとは?採用難易度も解説

インフラエンジニアの役割

インフラエンジニアは企業のITシステムを支える縁の下の力持ちです。
サーバー・ネットワーク・データベースといったITインフラの設計・構築・運用・保守を担当し、システムが安定稼働するように日々尽力しています。

具体的には、次のような多岐に渡る業務を担います。

  • サーバーの構築・設定
  • ネットワークの設計・構築
  • データベースの設計・管理
  • システムのパフォーマンス監視
  • 障害発生時の対応

また、セキュリティ対策もインフラエンジニアの業務範囲に含まれますが、セキュリティエンジニアのような専門性の高い業務を行うケースは少なく、サーバーやネットワーク機器の基本的なセキュリティ設定やアクセス制御、ファイアウォールの構築・運用などが中心となります。

【現役インフラエンジニアのひとこと】

15年間の経験から、インフラエンジニアといえどもセキュリティ対策の一部を担当することがあると実感しています。
一般的には、以下のような作業を担当するケースが多いでしょう。

  • ファイアウォールの設定
  • アクセス権限の管理
  • OSやミドルウェアのパッチ適用
  • SSH・RDPなどのリモートアクセス制御
  • ログ管理と監視ツールの導入
  • ウイルス対策ソフトの導入・管理
  • クラウド環境での通信制御やユーザーアクセス権の設定

これらはシステムの安定稼働と安全性を確保するために重要となる作業です。
セキュリティエンジニアを採用している企業・していない企業問わず、インフラエンジニアも常にセキュリティリスクを意識し、適切な対策を講じる必要があります。

関連記事:インフラエンジニアの職種内容を徹底解説!人材採用のポイントも紹介

セキュリティエンジニアの役割

セキュリティエンジニアは、サイバー攻撃や情報漏洩などの脅威から企業のITシステムを守ることに特化した専門家です。

具体的には、以下のようなセキュリティ関連の業務を担当します。

  • セキュリティポリシーの策定
  • 脆弱性診断の実施
  • セキュリティシステムの導入・運用
  • セキュリティインシデント発生時の対応
  • 侵入検知・防御システムの構築・運用
  • セキュリティ監査

近年巧妙化するサイバー攻撃に対抗するために、最新のセキュリティ技術や脅威情報に精通し、迅速かつ的確な対応が求められます。
組織のセキュリティレベルを向上させ、安全なIT環境を構築・維持することで企業の信頼と事業継続性を守ります。

インフラエンジニアとセキュリティエンジニアのスキルの違い

インフラエンジニアとセキュリティエンジニアに必要とされるスキルは異なります。
スキルの観点から両者の違いを理解していきましょう。

項目

インフラエンジニア

セキュリティエンジニア

必須スキル

  • サーバー・ネットワーク・
    データベースに関する知識
  • OS・ミドルウェアの知識
  • クラウドプラットフォームの知識
  • 基本的なセキュリティ対策の知識

  • セキュリティに関する専門知識
  • 脆弱性診断スキル
  • セキュリティシステムに関する
    知識
  • 情報セキュリティポリシー策定
    スキル
  • 脅威分析スキル

歓迎スキル

  • プログラミングスキル
  • 自動化ツール活用スキル
  • プロジェクトマネジメントスキル

  • 侵入検知・防御システムの構築
    ・運用スキル
  • インシデントレスポンス(※1)
    スキル
  • フォレンジック(※2)スキル
  • セキュリティ監査スキル
  • セキュリティに関する資格

※1. インシデントレスポンス … サイバー攻撃や情報漏洩などのセキュリティインシデントが発生した際に、被害の最小化と早期復旧を図るための対応プロセスのこと

※2 フォレンジック … サイバー攻撃や情報漏洩の原因や経路を特定するために、システムやログなどのデジタル証拠を収集・分析する調査手法

関連記事:ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違いとは?採用ポイントも解説

インフラエンジニアのスキル

インフラエンジニアには、サーバー・ネットワーク・データベースといったITインフラに関する幅広い知識とスキルが求められます。
LinuxやWindowsといったOS、ミドルウェアに加え、近年ではクラウドプラットフォーム(AWS・Azure・GCPなど)の知識やスキルも重要性を増しています。
セキュリティ分野では、ファイアウォールやアクセス制御といった基本的なセキュリティ対策に関する知識も最低限必要です。

さらには、プログラミングスキルや自動化ツールを活用するスキルがあれば、業務効率化や自動化を実現し、より高度なインフラ構築・運用が可能になります。
プロジェクトマネジメントスキルも、大規模なシステム開発やプロジェクトを円滑に進める上で役立ちます。

関連記事:【一覧表】インフラエンジニアに求めるスキル15選!資格も紹介

セキュリティエンジニアのスキル

セキュリティエンジニアには、情報セキュリティに関する高度な専門知識が求められます。
ネットワークセキュリティ・Webセキュリティ・アプリケーションセキュリティなど、幅広い分野の知識が求められます。
脆弱性診断やセキュリティシステムの構築・運用スキル、脅威分析スキルも重要です。
また、情報セキュリティポリシーの策定やセキュリティ監査など、組織全体のセキュリティレベルを向上させるためのスキルも必要です。

近年では、侵入検知・防御システムの構築・運用、インシデントレスポンス、フォレンジックといった、サイバー攻撃発生時における対応スキルも重要視されています。
また、CISSPのような高度なセキュリティ関連資格は、専門性を証明する上で大きな強みとなるでしょう。

課題に応じたインフラエンジニア・セキュリティエンジニアの対応領域

企業が抱えるIT課題は多岐にわたり、それぞれの課題に対して適切なスキルをもつエンジニアが必要です。
ここでは、よくある課題に対するインフラエンジニアとセキュリティエンジニアの対応領域を具体的に見ていきましょう。

関連記事:ITインフラの主な課題とは?解決方法もあわせて紹介

オンプレからクラウドへの移行プロジェクト

オンプレミスからクラウドへの移行プロジェクトでは、インフラエンジニアが中心となってクラウド環境の設計・構築、既存システムの移行、運用保守を行います。
本課題ではクラウドプラットフォームの知識や移行ツールの活用スキルが求められます。

セキュリティエンジニアは、クラウド環境におけるセキュリティ対策の設計・実装、セキュリティ監査などを担当し安全なクラウド環境を構築します。

取引先からのセキュリティ要件への対応

取引先からセキュリティ要件を提示されるケースが増えています。
このような場合、セキュリティエンジニアが中心となり要件に基づいたセキュリティ対策の実施、セキュリティ監査の実施、報告書作成などを行います。

インフラエンジニアはセキュリティエンジニアと連携し、必要なシステム構成の変更やセキュリティツールの導入などを担当します。

サイバー攻撃発生時の緊急対応と復旧作業

サイバー攻撃が発生した場合、セキュリティエンジニアは最前線に立ち攻撃の分析、被害状況の把握、侵入経路の特定、復旧作業などを行います。
ここで求められるのはインシデントレスポンスやフォレンジックのスキルです。

インフラエンジニアはセキュリティエンジニアと協力し、システムの復旧、データの復元、再発防止策の実装などを担当します。

インフラエンジニアとセキュリティエンジニアの採用方法

社内に適切な人材がいない場合、上述した課題に効果的に対処することは困難です。
では、インフラエンジニアとセキュリティエンジニアをどのように採用すれば良いのでしょうか?
大きく分けて正社員採用とフリーランス活用という二つの選択肢があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の状況に合わせて最適な方法を選択しましょう。

正社員採用

正社員採用は、長期的な視点で人材育成を行い、組織への定着を図ることができる点がメリットです。
社内文化への適応やチームワークの醸成も期待できます。
一方でデメリットとして挙げられるのは、採用コストや教育コスト、固定費の負担などです。
また、高度なスキルをもつ人材の採用は競争が激しく、採用までに時間を要する可能性もあります。

関連記事:インフラエンジニアの採用が難しい理由と優秀な人材を獲得する方法を解説
関連記事:インフラエンジニアは正社員採用するべき?メリットと採用のポイントなどを解説

フリーランス活用

フリーランス活用は、必要なスキルをもつ人材を必要な期間だけ確保できるという柔軟性が最大のメリットです。
即戦力となる人材を迅速に確保できるため、プロジェクトの立ち上げをスムーズに進めることができます。
また、正社員採用と比較して採用コストを抑えられる点も魅力です。

近年、フリーランスとして活躍する優秀なエンジニアが増えており、専門性の高いスキルをもつ人材も確保しやすくなっています。
プロジェクト単位での契約となるため、費用をコントロールしやすく、変化の激しいIT業界において柔軟な対応が可能となります。

関連記事:インフラエンジニア案件をフリーランスに業務委託する方法とメリットを解説

セキュリティ対策に強いインフラエンジニアならクロスネットワークがおすすめ

この記事では、インフラエンジニアとセキュリティエンジニアの役割やスキルの違い、課題別の両者の担当範囲や採用方法について解説してきました。
ITインフラとセキュリティ対策の重要性が高まる現代において、適切な人材の確保は企業の成長を大きく左右します。
特に、専門性の高いセキュリティ分野においては高度なスキルと経験をもつ人材を確保することが課題となります。

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橋本貴裕
記事を書いた人
橋本貴裕

インフラエンジニア兼Webライター。金融業界の汎用機系エンジニアとしてキャリアをスタート。その後Web系システムのクラウド分野に転向し独立。本職の傍らSEOを学び、ライティングやディレクションの一部業務も経験。得意分野はAWS。

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