DX推進やクラウド化に対応できる人材を探しているけれど、サーバーエンジニアとクラウドエンジニアの違いがわからず困っていませんか?両者は密接に関係しているため、正確に役割を理解しないと自社の課題解決が難しくなるかもしれません。
本記事では、サーバーエンジニアとクラウドエンジニアの違いを、業務内容や必要なスキルを中心に解説します。あわせて、両者の領域をカバーできるインフラエンジニアの有効性と人材確保のルートについても解説するので、参考にしてみてください。
クラウド化の進展とエンジニア職種の多様化
近年、企業のDX推進やリモートワークの定着を背景に、クラウドサービスの導入が急速に進んでいます。
クラウド基盤を前提としたシステム構築が一般化したことで、ITインフラの構築・運用の形態は大きく変化しました。
インフラ環境の変化に伴いエンジニアの職種や求められるスキルも多様化しており、企業はどの職種を採用すべきか判断が難しくなっています。
本章では、クラウド化が進む現状と、それに伴うエンジニア職種の変化について解説します。
クラウド化が加速する日本企業の現状
下のグラフは、ガートナー社が実施した世界のパブリッククラウドサービス市場規模の推移および予測です。2017年から2024年(予測値)の間で約4.6倍に増加しています。
▲作成参考:総務省
日本企業においても、業務アプリケーションやデータ基盤のクラウド移行が一般化し、柔軟性向上や初期投資の削減、リモートワーク対応などを背景に導入が進んでいます。
この変化により、従来はサーバーエンジニアが担当していた業務領域が細分化され、クラウドエンジニアなどの新たな専門職が必要とされています。
企業にとって「サーバーエンジニアを確保すれば良い」という単純な判断では対応できない時代に変化しました。
クラウド時代に求められるエンジニア職種の多様化
クラウド化の進展により、エンジニアの職種は細分化・多様化しています。従来、サーバーエンジニアが担当していたオンプレミス中心の運用領域に、下表のような新しい専門職が登場しています。
クラウド時代に求められる主なエンジニア
職種 | 概要 |
サーバーエンジニア | 物理サーバーの構築・運用を担当する |
クラウドエンジニア | AWS・Microsoft Azure・Google Cloudなどを活用してクラウド環境を設計・構築する |
SREエンジニア | システムの信頼性向上と運用の自動化を担う |
DevOpsエンジニア | 開発と運用の橋渡し役で、システムの継続的な改善を推進する |
企業が求めるスキルセットも、既存インフラの維持だけでなくクラウド環境への最適化や運用自動化、セキュリティ設計へと拡大しています。採用担当者は「どの職種が自社の課題に合うか」を的確に見極める必要があるでしょう。
サーバーエンジニアとクラウドエンジニアの違い
サーバーエンジニアとクラウドエンジニアの違いは「物理サーバー」か「クラウド上の仮想環境」かという点にあります。近年ではサーバーエンジニアもクラウド環境を扱うケースが増えていますが、クラウドエンジニアはより広範な設計や最適化まで担うことが多く、求められる設計思想の深さにも違いが生じます。
ここでは両者の役割について解説します。
サーバーエンジニア|物理サーバーを構築・運用する職種
サーバーエンジニアは、自社やデータセンターに設置する物理的なサーバーを設計・構築・運用する技術者です。主な役割を以下にまとめました。
ハードウェアの選定やOS・ミドルウェアの設定
ITインフラの稼働状況の監視
障害発生時の原因特定・復旧作業・再発防止策立案
サーバーエンジニアは、インフラの安定稼働を支える重要な役割を担います。システム停止による機会損失を防ぐだけでなく、適切なリソース管理によるコスト最適化も求められます。
近年では、オンプレミス環境に加えてクラウド基盤を併用する企業も増えており、サーバーエンジニアがクラウド環境の基本的な運用や設定に関与するケースも一般的になっています。
関連記事:【企業向け】サーバーエンジニアとは?必要なスキル・年収相場などを解説
クラウドエンジニア|クラウド環境を構築・運用する職種
クラウドエンジニアは、AWS・Microsoft Azure・Google Cloudなどのクラウドサービスを利用して、以下の業務を担当する技術者です。
クラウドサービス設計・構築、セキュリティ対策
オンプレミスからクラウドへの移行対応(サーバーエンジニアと連携して実施)
クラウド環境の運用・保守、監視
クラウドエンジニアは、物理サーバー中心の運用とは異なり、クラウド特有のサービス理解やアーキテクチャ設計まで関与する点が特徴です。クラウド導入を進める企業にとっては、これらの知識や設計思想を理解した人材の確保が重要になっています。
関連記事:クラウドエンジニアとは?仕事内容とスキルからわかる採用ポイントも解説
サーバーエンジニアとクラウドエンジニアの業務内容の違い
日々の具体的な業務内容を知っておくことで、職種の違いを正確に把握しやすくなります。本章では、両者の業務内容の違いを詳しく解説します。
サーバーエンジニアとクラウドエンジニアの役割表
業務項目 | サーバーエンジニア | クラウドエンジニア |
環境構築・設定 |
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日常監視・メンテナンス |
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障害対応 |
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コスト管理 |
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セキュリティ管理 |
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サーバーエンジニアの業務内容
サーバーエンジニアの主な業務は、物理サーバーを中心とした環境の構築・運用です。企業の要件に応じて、サーバー導入時の技術的な支援を行い、OS(Linux/Windows Server)やミドルウェアのインストールと各種設定を行います。近年では、クラウド環境の基本的な設定や運用に関与するケースも一般的になっています。
日常業務では、サーバーが正常に動作しているかを監視し、定期的なメンテナンスを実施。障害発生時には原因調査から復旧対応までを行うことが求められます。
関連記事:【企業向け】サーバーエンジニアの仕事内容|他職種との違いも徹底解説
クラウドエンジニアの業務内容
クラウドエンジニアの業務は、クラウドサービスを使ったインフラ環境の設計・構築・運用が中心です。
AWS・Microsoft Azure・Google Cloudといった主要クラウドサービスを使って、仮想サーバーやネットワークを構築します。これらは管理画面やコマンドラインで行うため、物理的な作業は発生しません。
また、クラウドサービスは従量課金制のため、コスト最適化の提案・実行をすることもあります。さらに、セキュリティ設定とアクセス制御の管理も担い、適切な権限管理や不正アクセスを防ぐ仕組みの構築も重要です。
さらに、運用負荷を軽減するため、監視やバックアップなどの定型作業を自動化する仕組みを構築することも求められます。クラウド環境全体を最適化するため、設計から運用までの範囲を広く担当する点が特徴です。
サーバーエンジニアとクラウドエンジニアのスキルの違い
サーバーエンジニアとクラウドエンジニアの業務内容は重なる領域も多いため、どのようなスキルをもつ人材を採用すべきか判断に迷うかもしれません。
ここでは、両者に求められるスキルの違いと共通点を整理し、選考時の判断材料として役立てられるよう解説します。
サーバーエンジニアとクラウドエンジニアに必要なスキル・知識表
スキルカテゴリ | サーバーエンジニア | クラウドエンジニア |
インフラ知識 |
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OS運用スキル |
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ネットワーク |
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コンテナ/自動化技術 |
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セキュリティ |
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サーバーエンジニアの保有スキル
サーバーエンジニアに求められるスキルは、主に物理的なサーバーとオンプレミス環境に関するものです。企業の要件に応じて物理サーバーの構成を理解し、仮想化基盤(VMware など)の運用ができることが求められます。
また、LinuxやWindows Serverといったサーバー用OSの設定・運用スキルも必要で、CentOS・Ubuntu・Red Hat Enterprise Linuxなどがよく利用されています。
ネットワークに関しては、L2/L3、VLAN、ルーティングなどの基礎知識をもち、オンプレミス環境でのネットワーク構成を理解していることが重要です。近年ではクラウドとの併用環境も増えているため、主要クラウドサービスの基本的な概念を理解していると実務で生かしやすくなります。
関連記事:サーバーエンジニアのスキルセットとは?クラウド領域における必要性も解説
クラウドエンジニアの保有スキル
クラウドエンジニアに求められるスキルは、クラウドサービスの設計・構築に関する知識と実務経験が中心です。
AWS・Microsoft Azure・Google Cloudなどの主要クラウドサービスを使用してシステムを構築した経験が、採用の判断基準と言えます。
また、インフラの構成をコードとして管理するIaC(Infrastructure as Code)の知識も重要で、TerraformやAWS CloudFormationといったツールが使われます。DockerやKubernetesなどのコンテナ技術の経験も必要です。
また、クラウドの料金体系を理解し、コスト削減の提案ができる人材は価値が高いと言えます。
関連記事:クラウドエンジニアのスキルセットとは?採用・育成に役立つ観点を解説
サーバー・クラウドエンジニアの共通スキル
サーバーエンジニアとクラウドエンジニアの分野は密接に関係しているため、以下のように共通して求められるスキルがあります。
サーバーエンジニア・クラウドエンジニアの共通スキル表
スキルカテゴリ | 詳細内容 |
インフラの基礎知識 |
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OSの基本操作 |
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トラブルシューティング |
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上記の共通スキルをもつ人材は、オンプレミスとクラウドの両方に基礎知識を応用しやすいため、サーバーエンジニアとクラウドエンジニアのどちらにも転換しやすい点が特徴です。
たとえば、サーバーエンジニアの実務経験をもつ人材を採用すれば、クラウド関連の資格取得や研修を通じてクラウドエンジニアとして育成することが可能です。反対に、クラウドエンジニアもオンプレミス環境の基礎を習得することで、ハイブリッド環境にも対応しやすくなります。
採用時には、両者の共通スキルを理解することで柔軟な採用戦略を行うことができます。
サーバーエンジニア・クラウドエンジニアが必要なケース
サーバーとクラウドは重なる業務領域があるため、自社の状況に応じてどちらのエンジニアを採用すべきか判断する必要があります。具体的には、自社のIT戦略(クラウド化の進度・既存システムの構成・運用方針)に合致した人材を見極めることが重要です。
既存のITインフラ運用を優先する場合はサーバーエンジニア
既存インフラの安定運用を重視する企業には、サーバーエンジニアが適しているケースが多いです。具体的には以下のような場合で効果を発揮します。
オンプレミス環境が中心で今後おおきな変更を予定していない
規制・セキュリティの観点からオンプレミス環境を維持する必要がある
ハードウェアを含めた長期的な視点でのコスト管理を重視
既存インフラの安定性と信頼性を実現するためには、物理サーバーやオンプレミス環境の特性を理解したサーバーエンジニアが重要な役割を担います。自社のIT資産を最大限に活用しながら、長期的に安定した運用を実現できるでしょう。
関連記事:フリーランスのサーバーエンジニアと契約するメリット|正社員との違いも解説
DX推進に注力する場合はクラウドエンジニア
DX推進に注力している企業には、クラウドエンジニアの採用が有効です。具体的には以下のようなケースが当てはまります。
経営方針としてDX推進やクラウドファーストを掲げている
新規事業やサービスを迅速に立ち上げる必要がある
初期投資を抑えつつITインフラを整備・拡張したい
スタートアップや成長企業で変化への対応スピードが重要
上記の企業に共通するのは、スピードと柔軟性、コスト最適化を重視している点です。クラウドエンジニアは、迅速なインフラ構築と環境変化への素早い対応を実現できるため、ビジネスの成長を技術面から支えることができます。
関連記事:フリーランスのクラウドエンジニアを採用するメリットと方法を徹底解説
ハイブリッド環境の場合はインフラエンジニアの採用が有効
ハイブリッド環境とは、オンプレミスとクラウドの両方を組み合わせてITインフラを運用する形態のことで、両方の特性を理解したインフラエンジニアの採用が有効です。
インフラエンジニアは、サーバーやネットワーク、クラウドなどインフラ全般を扱えるため、オンプレミス環境(物理サーバーや仮想基盤)の構築・運用から、クラウド移行プロジェクトまで幅広く対応できます。
インフラエンジニアが社内にいることで、オンプレミスとクラウドの最適な構成バランスを判断しやすくなります。
関連記事:インフラエンジニアとサーバーエンジニアの違い|採用時の観点も解説
インフラエンジニアの役割と採用メリット
インフラエンジニアは、オンプレミス環境からクラウド環境まで横断して対応できるため、インフラ全体に関わる幅広い役割を期待できます。本章では、どちらを採用するるべきか迷う場合の有効な選択肢として、インフラエンジニアの役割と採用メリットを解説します。
インフラエンジニアの役割
インフラエンジニアの役割は、システム基盤を安定して稼働させるために、オンプレミス環境とクラウド環境の双方で構築・運用を担うことです。サーバーエンジニアやクラウドエンジニアが特定領域を担当するのに対し、インフラエンジニアは基盤全体を横断しながら最適な環境を整備します。
主な業務内容は以下のとおりです。
インフラエンジニアの主な業務内容一覧
業務項目 | 業務内容 |
構築・設定 |
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運用・監視 |
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障害対応 |
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セキュリティ対策 |
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コスト最適化 |
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関連記事:インフラエンジニアの職種内容を徹底解説!人材採用のポイントも紹介
インフラエンジニアを採用するメリット
インフラエンジニアを採用する主なメリットは、オンプレミスとクラウドを横断した業務を一元的に任せられることです。専門領域をまたいで業務をカバーできるため、採用コストの削減も実現しやすくなります。
また、社内でのコミュニケーションコストを削減できるのもメリットです。サーバー担当とクラウド担当が分かれていると、設計や運用の調整に時間がかかることがありますが、インフラエンジニアであれば技術判断を一本化することが可能です。
エンジニア採用・確保のポイントと主な手段
サーバーエンジニア・クラウドエンジニア・インフラエンジニアの違いについて整理してきましたが、人材要件の基本的な考え方は共通しています。ここでは採用判断のポイントと人材確保の手段について解説します。
採用判断と募集・選考のポイント
採用判断の段階では、自社の環境(オンプレミス/クラウド/ハイブリッド)と今後のDX方針を整理することが重要です。
またIT部門への事前ヒアリングを通じて、どのような業務を任せたいのか、必須スキルは何かを明確にすることが必要です。募集要項の例を下表にまとめました。
項目 | 記載例 |
担当業務 |
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実務経験 |
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歓迎スキル・資格 | |
勤務形態 |
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面接では、専門的な評価はIT部門が担当し、人事は学習意欲やコミュニケーション能力などの基本適性を確認することが重要です。また、カルチャーフィットを見極めることで入社後のミスマッチや早期離職を防ぎやすくなります。
人材確保の主な手段(正社員・SES・フリーランス)
人材確保の手段は、おおきく分けて正社員採用、SES活用、フリーランス活用の3つがあります。それぞれの特徴を以下にまとめました。
人材確保の主な手段
項目 | 正社員採用 | SES活用 | フリーランス活用 |
メリット |
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デメリット |
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適用ケース |
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正社員採用やSESでは補い切れない領域をカバーする手段として注目されているのが、フリーランスの活用です。個人の専門スキルを直接活用できるため、クラウドやネットワークなど特定分野の即戦力を柔軟にアサインできます。契約範囲や稼働時間に応じて柔軟に報酬を設定できるため、コストを最適化しやすくなる点もメリットです。
関連記事:インフラエンジニアは正社員採用するべき?メリットと採用のポイントなどを解説
関連記事:インフラエンジニアのSES採用とは?フリーランスとの比較も解説
サーバー・クラウド・インフラ人材の採用課題を解決するならクロスネットワークがおすすめ
サーバーエンジニアとクラウドエンジニアは、どちらもITインフラの強化において重要な役割を担います。しかし、以下のように企業の状況によって必要な人材は異なります。
DX推進に注力する場合はクラウドエンジニア
既存インフラの安定運用を優先する場合はサーバーエンジニア
また、オンプレミスとクラウドの両方を扱えるインフラエンジニアを採用することで、幅広い領域を一元的にカバーすることも可能です。しかしハイスキルな人材は需要が高く、正社員採用では思うように確保できないケースも少なくありません。
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新卒で大手インフラ企業に入社。約12年間、工場の設備保守や運用計画の策定に従事。 ライター業ではインフラ構築やセキュリティ、Webシステムなどのジャンルを作成。「圧倒的な初心者目線」を信条に執筆しています。
