「システム障害の対応に追われて、現状の体制に限界を感じてしまう」
「経営陣からDX推進を求められているが、日々の業務が忙しくて着手できない」
情シスの課題は、担当者個人の能力不足だけでなく、人手不足、業務の属人化、運用保守への偏り、社内ヘルプデスク対応の集中といった組織構造にも原因があります。
本記事では、情シスが抱えやすい課題を整理したうえで、放置した場合のリスク、業務改善の進め方、外部委託を検討すべき業務範囲まで解説します。
情シスが直面している課題
企業における情報システム部門(以下、情シス)は、いまや経営の根幹を支える重要な役割を担っています。
多くの現場では、慢性的な人材不足や業務過多が担当者の負担を増大させているのが現状です。情シスが直面しがちな課題を体系的に整理し、その根本原因を見ていきましょう。
組織体制の課題(属人化・ひとり情シス)
多くの企業で問題視されているのが、以下のような組織体制の課題です。
- 特定の担当者に業務が集中する「属人化」
- 担当者が一人しかいない「ひとり情シス」
システム設定やトラブル対応が特定の個人に依存すると、担当者の不在時に誰も対応できない状況に陥ります。
組織としてリスクが高い「ブラックボックス化」が進んでいる状態です。
リソース配分の課題(運用保守への偏り)
情シス部門におけるリソース配分の課題とは、以下のような現状を指します。
- 予算や人員の大部分が既存システムの「運用・保守」に費やされている
- 新たな価値を生み出す「戦略・企画」にリソースを回せていない
経済産業省が公表する「DXレポート」によると、多くの日本企業では、IT予算の約8割が現行ビジネスの維持に費やされていると指摘。企業の活動を維持するためには、運用・保守の業務が欠かせません。
しかし、過剰な品質や対応を求めると、DX推進や新システムの導入といった将来につながる取り組みが後回しになってしまいます。
IT資産の課題(老朽化・複雑化)
長年使い続けているIT資産の老朽化・複雑化も、コストとリスクの側面で情シスを悩ませる課題です。
古い技術に対応できるエンジニアが少なく、保守・運用にかかるコストが増大するケースも少なくありません。
また、システムが複雑化すると、改修による他機能への影響を正確に予測できない場面が多々あります。
そのため、小規模な改修でさえ多大な調査・テスト工数が必要となり、ビジネスの変化に迅速に対応することが難しくなってしまうのです。
戦略不在の課題(DXが進まない理由)
DXが推進される現代では、明確なIT戦略なしにシステム導入だけが先行する「戦略不在」の課題もあります。
戦略がないままプロジェクトを進めると、現場の課題解決につながらないシステムが導入され、かえって業務効率が低下することも。
たとえば、各部署が異なるクラウドツールを導入した結果、データを連携できずに二重入力の手間が発生するような事態です。
デジタル技術を使うこと自体が目的となってしまい、本来目指すべきDXが進まない状態に陥ってしまいます。
運用・保守からの脱却が進まない
脱却が進まない理由の一つに、業務の標準化ができていない点が挙げられます。
マニュアルがなく、担当者独自の手法で運用されている業務の分担や引き継ぎは容易ではありません。
また、目に見えるコストの増加を避けるため、運用・保守の業務を社内リソースで完結させようとする傾向もあります。
しかし、外部リソースの活用は合理的な投資であり、経営層に向けた費用対効果の提示も現状からの脱却に欠かせません。
社内ユーザーサポートとヘルプデスク
社内ユーザーサポートやヘルプデスクは、情シス担当者の工数を圧迫しやすい業務です。
PCの不具合やアカウント発行、社内ツールの利用方法、権限変更などに関する問い合わせは、電話やチャットを通じて随時寄せられます。
対応が細切れになりやすく、改善施策やIT投資の検討に充てる時間を確保しにくくなるでしょう。
まずは問い合わせ内容を分類し、よくある質問をFAQやマニュアルに落とし込むことが重要です。
社員が自己解決できる範囲を広げれば、情シスへの問い合わせ件数を抑えやすくなります。
対応件数が多い場合は、一次受付や定型的な問い合わせ対応を外部に切り出すのも一つの方法です。
フリーランス専門のエージェントを活用すれば、必要なスキルをもつ人材を必要な期間に限定して確保できます。
フリーランス専門のエージェント「クロスネットワーク」なら、予算や要望にあったエンジニアを必要なタイミング・期間でアサイン可能です。
最短3営業日で紹介できるため、急な欠員や繁忙期のリソースにも迅速に対応できます。
組織のボトルネックを解消するため、まずは外部リソースの活用も検討してみてください。
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情シスの人手不足・人材不足が起きる原因
情シスの人手不足は、採用人数の不足だけでなく、業務範囲の広さによっても起こります。
インフラ運用、セキュリティ対策、社内ヘルプデスク、アカウント管理、IT資産管理、ベンダー対応まで少人数で担えば、緊急対応に追われ、改善業務に十分な時間を確保できません。
この状態が続くと、担当者は「忙しいのに評価されにくい」「新しい技術を学ぶ時間がない」「相談できる相手がいない」といった負担を抱えやすくなります。
そのため、採用だけに頼るのではなく、業務の切り分け、標準化、外部リソースの活用を組み合わせて検討することが重要です。
情シス課題を放置した場合のリスク
慢性的な人手不足や業務の属人化は、情シス部門だけの問題ではありません。
対応が後手に回れば、障害対応の遅れやセキュリティ事故、DX推進の停滞など、企業全体に影響するリスクへ発展します。考えられる主なリスクは、以下の4つです。
- 障害・セキュリティ事故のリスク増大
- DX競争力の低下
- 担当者退職による業務停止リスク
- IT投資の非効率化
ここからは、それぞれのリスクについて順番に解説します。
障害・セキュリティ事故のリスク増大
情シスのリソース不足や属人化を放置すると、システム障害やセキュリティ事故への対応が遅れる可能性があります。
日々の運用業務に追われる状態では、セキュリティパッチの適用、サーバーのログ監視、脆弱性対応といった予防措置まで手が回りません。
OSやソフトウェアの脆弱性を狙うサイバー攻撃は、年々巧妙化しています。わずかな対応の遅れが、不正アクセスや情報漏えいにつながるおそれもあるでしょう。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」によると、組織向けの脅威として以下のような攻撃が挙げられています。
- ランサム攻撃による被害
- サプライチェーンや委託先を狙った攻撃
- AIの利用をめぐるサイバーリスク
- システムの脆弱性を悪用した攻撃
- 内部不正による情報漏えい等
これらの脅威に対応するには、日常的な監視や更新作業に加え、インシデント発生時の対応フローを整えておく必要があります。
担当者任せの運用が続くほど、初動対応の遅れや判断ミスが起こりやすくなります。
DX競争力の低下
情シスのリソースが運用・保守に偏ると、DX施策に向けた検討や実行が後回しになります。
競合企業がデータ活用や業務プロセス改革を進めるなか、既存システムの維持だけに追われていると、新たな価値提供や業務効率化に取り組む余力を確保できません。
また、経済産業省が公表する「DXレポート」では、老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムが、DX推進の足かせになる点が指摘されています。
こうしたシステムを放置すれば、運用・保守にかかるコストや人的リソースが膨らみます。
その結果、新しいデジタル技術への投資や、戦略的なIT施策へ予算を振り向けにくくなるでしょう。
担当者退職による業務停止リスク
ひとり情シスや属人化した体制では、担当者の退職・休職が業務停止につながるおそれがあります。
業務手順やシステム設定、障害対応の判断基準が特定の担当者に集中していると、その人が不在になった時点で「あの人しか分からない」状態に陥ります。
とくに長年蓄積されたノウハウは、退職が決まってから短期間で引き継ぐのが困難です。
マニュアルが整備されていなければ、後任者や他部署が状況を把握するまでに時間がかかります。
「あの人がいるから大丈夫」という安心感は、裏を返せば担当者に依存している危うさでもあります。
事業継続の観点からも、業務手順の標準化や複数人で対応できる体制づくりが欠かせません。
IT投資の非効率化
戦略的なIT計画を立てられない状況が放置されると、IT投資の費用対効果(ROI)が著しく低下する可能性があります。
特に、場当たり的なシステム改修やツール導入を繰り返すと、仕様の複雑化やコストの増加につながるケースも少なくありません。
また、老朽化したシステムの維持コストも投資効率を悪化させる要因です。
古い技術を維持するためには、希少なスキルをもつエンジニアの確保が必要となり、結果としてコストが高止まりする場合もあります。
しかし、本来であれば、IT投資の予算は新規事業やDX推進を優先したいところです。
情シスの業務改善で期待できる効果
情シスが抱える慢性的な課題を解決することで、以下のような業務改善につながる効果が期待できます。
- コア業務に注力できる体制の確立
- DX推進やクラウド移行に着手できる
- IT業務の標準化と安定化
- IT投資の最適化
業務改善から得られるメリットは、担当者の残業時間が減るといった現場レベルの変化だけではありません。
組織構造を見直し、リソース配分を最適化することで、企業全体の競争力を高められます。
コア業務に注力できる体制の確立
情シスの業務改善が進むと、社員が「コア業務」に専念できる体制が整います。
コア業務とは、以下のように企業の経営戦略に直結する仕事です。
- IT戦略の立案
- 新規システムの企画
- 業務プロセスの改革(BPR)
- ベンダーコントロール
一方で、日々の定型業務は「ノンコア業務」に分類されます。企業の活動に欠かせない業務ですが、直接的な利益を生み出すわけではありません。
ノンコア業務のリソースを外部業者やツールに配分することで、コア業務に割り振る社員の時間を確保できます。
意思決定が求められるコア業務は、自社のビジネスを深く理解している社員でなければ務まりません。
DX推進やクラウド移行に着手できる
日々の運用・保守に追われる状況から脱却することで、DX推進やクラウド移行へ本格的に着手できます。たとえば、オンプレミスからクラウドへの移行が進めば、ハードウェアの老朽化対応や更改作業による負担も軽減可能です。
また、営業支援や顧客管理をシステム化すれば、営業担当者が顧客への提案活動により多くの時間を使えます。情シス主導で業務プロセスをシステム化することは、会社全体の生産性を高めるためにも重要な要素です。
IT業務の標準化と安定化
IT業務の安定性を高めるためには、属人化していた業務の「標準化」も重要です。マニュアルや手順書を整備することで、組織として業務に対応できる体制が整います。
また、業務の標準化には、ミスやトラブルの発生頻度を下げる効果も期待できます。個人の感覚に頼った作業では、手順の抜け漏れや勘違いが発生しがちです。チェックリストやフローチャートに基づいて作業する仕組みが整えば、担当者のスキルや経験に左右されない一定品質の業務を完遂できます。
IT投資の最適化
日々の運用・保守に追われる状態を改善できれば、情シスはDX推進やクラウド移行に必要な検討・実行へ時間を振り向けられます。
オンプレミス環境からクラウドへ移行することで、ハードウェアの老朽化対応や更改作業にかかる負担を抑えやすくなるでしょう。
営業支援や顧客管理のシステム化も、情シスが主導できる改善施策の一つです。SFAやCRMの活用が進めば、営業担当者は顧客対応や提案活動により多くの時間を使えるようになります。
このように、情シス主導で業務プロセスを見直すことは、部門単位の効率化にとどまりません。会社全体の生産性向上にもつながる取り組みです。
情シスの課題を解決するためにすべきこと
情シスの課題を解決するには、担当者個人の努力に頼るのではなく、業務範囲や運用体制を組織として見直す必要があります。
具体的には、次のような取り組みが有効です。
- 情シスの業務範囲を明確にする
- 業務フローを見直す
- クラウドサービスの導入
- 社員のITリテラシーを高める
- コア業務以外は外部委託を活用する
属人化やリソース不足を解消するには、現状の業務プロセスを可視化し、社内で担う業務と外部に任せる業務を切り分けることが重要となります。
情シスの業務範囲を明確にする
まずは、情シスが担当すべき業務範囲の明確化から始めましょう。担当者が疲弊する原因の一つは、不明確な業務範囲による「便利屋」としての扱いです。不具合対応や備品の交換など、本来の業務範囲から外れる依頼まで引き受けているケースも少なくありません。
そこで、情シスの責任範囲と部署内での解決を依頼する範囲を明確に切り分けます。対応時間についてもルール化し、時間外の対応は緊急時のみとするような基準を設けることが大切です。
本来注力すべきコア業務に集中するため、まずは現状のタスクを洗い出しながら情シスの業務範囲を精査してみましょう。
業務フローを見直す
業務の属人化を防ぐためには、業務フローの見直しが必要です。誰が・いつ・どの手順で対応するかを整理し、担当者のノウハウをマニュアルやFAQに整備することで、不在時でも対応できる体制づくりにつながります。
また、社内ポータルサイトやナレッジ共有ツールを活用し、作成したドキュメントを必要なときに取り出しやすい状態にしておきましょう。地道な作業ですが、業務の標準化と引き継ぎ負荷の軽減に有効なプロセスです。
クラウドサービスの導入
物理的なサーバーやネットワーク機器の管理負担を減らすためには、SaaS(Software as a Service)の活用があります。SaaSとは、インターネット経由で利用するクラウド型のソフトウェアのことです。自社でメールサーバーやファイルサーバーを構築・運用している場合、老朽化による故障対応やリプレース、バックアップ管理などに継続的な工数が発生します。
Microsoft 365やGoogle WorkspaceなどのSaaSへ切り替えることで、自前のサーバーを構築・運用する必要がなくなり、インフラ維持にかかる負担の軽減が期待できます。また、ベンダー側で継続的にアップデートが行われるため、機能改善やセキュリティ対策への対応工数も抑えやすくなります。
社員のITリテラシーを高める
情シスへの問い合わせ件数を減らすためには、社員のITリテラシーを高める取り組みも欠かせません。「パスワードを忘れた」「プリンターの使い方がわからない」といった初歩的な相談は、ITの基本知識や操作経験の差に起因するケースもあります。
社員のITリテラシーを高める手段としては、社内で利用しているITツールの基本的な操作方法や活用方法を周知することです。また、社内ポータルサイトやチャットツールなどを活用して、便利な機能の紹介や注意点を共有することで、社員がITツールを適切に活用する意識を高められます。
コア業務以外は外部委託を活用する
情シスのリソース不足を解消し、コア業務に集中するための手段として外部委託(アウトソーシング)の活用も効果的です。社内の担当者に負荷が偏ってしまわないように、以下のような切り分けをしてみましょう。
- 企画や設計などの「コア業務」は社内で担当
- 定型的な「ノンコア業務」は外部に委託
外部委託を活用することで、採用難の状況下でも必要なスキルをもつ人材をスムーズに確保できます。セキュリティ対策の強化が必要な場合は、セキュリティ専門のエンジニアを期間限定でアサインするといった柔軟な対応が可能です。
業務内容や契約条件に応じて、柔軟にエンジニアを確保したい企業様は、フリーランス専門エージェント「クロスネットワーク」まで気軽にお問い合わせください。予算や要望にあったフリーランス人材を最短3営業日でのアサインが可能です。

情シスの課題解決ならクロスネットワークにご相談ください
多くの企業で抱えている情シスの課題は、担当者個人の能力不足ではなく、組織構造やリソース配分に原因があります。属人化やひとり情シスといった状況をこのまま放置すれば、DX競争力の低下といった経営リスクにつながりかねません。
組織の課題を解決するためには、現状の業務を「コア業務」と「ノンコア業務」に分類することが大切です。そのうえで、以下のような施策を段階的に進めていきましょう。
- 業務範囲の明確化
- 業務フロー整備による標準化
- クラウドサービスの導入
- 社員のITリテラシー向上
また、限られた社内リソースを有効活用するうえで、ノンコア業務を積極的に外部委託する判断も重要です。
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元エンジニアのWebライター。自動車部品工場のインフラエンジニアとして、サーバー・ネットワークの企画設計から運用・保守まで経験。自分が構築したインフラで数千人規模の工場が稼働している達成感とプレッシャーは今でも忘れられない。
