新入社員の受け入れやPCのリプレイス時期になると、大量のキッティング作業に追われてしまいがちです。このような課題を解決するために、キッティング担当の「正社員」を採用しようと検討していませんか?
正社員のキッティング担当者がいれば、目先の業務負荷を軽減できる可能性もあります。しかし、業務の品質や効率化などを考慮すると、必ずしも正社員が最適策とは限りません。
そこで本記事では、キッティング作業を正社員に任せるメリット・デメリットを解説します。自社の状況にあわせて「外部委託すべきかどうか」の判断に役立ててみてください。
キッティング作業を正社員が担当するメリット
キッティング作業を正社員が担当するメリットは、以下のとおりです。
- 急な対応や柔軟な対応を依頼しやすい
 - 社内にキッティングのノウハウを蓄積しやすい
 - 社内環境やセキュリティポリシーの理解が深い
 
自社の状況に適した体制構築を検討するため、まずは正社員が担当するメリットから把握しましょう。
急な対応や柔軟な対応を依頼しやすい
正社員がキッティングを担当することで、急な依頼や仕様変更を柔軟に対応しやすいメリットがあります。たとえば、中途採用者が入社したり、PCの故障で代替機がすぐに必要になったりするケースは少なくありません。
社内にキッティング担当の正社員がいれば、突発的な事態が発生しても迅速な対応が可能です。外部の業者にキッティングを委託する場合は、契約手続きや見積もりの取得といったプロセスに時間がかかる可能性もあります。
また、以下のような細かな要望に応えやすいのも特徴です。
- 1台だけのキッティング
 - 作業内容の微調整
 - 部署特有の細かな設定変更
 
外部委託では複数台の発注が前提となるケースも多いため、1台単位の柔軟な依頼が難しい可能性も想定しておきましょう。
社内にキッティングのノウハウを蓄積しやすい
正社員が継続的に担当することで、社内にキッティング作業のノウハウを蓄積できます。キッティングの作業手順は、OSのアップデートやソフトウェアの導入といった変化にあわせて更新が必要です。
正社員が担当者であれば、キッティング作業から得られた気づきや改善点をスムーズに手順書に反映させられます。より効率的でミスのないプロセスを構築するためには、社内で継続的に担当する正社員の知識や経験が欠かせません。
また、自社独自の業務システムや特殊なソフトウェアは、セキュリティの観点から正社員による対応が適しています。
社内環境やセキュリティポリシーの理解が深い
キッティング作業では、以下のように企業の重要な情報にアクセスする場面も少なくありません。
- 管理者権限でログインする
 - 社内ネットワークに接続する
 - セキュリティソフトを設定する
 
自社のセキュリティポリシーや情報資産の取り扱いに関連するルールを理解している正社員であれば、キッティング作業を安心して任せられます。
管理者アカウントのパスワードやライセンス情報など、外部業者にキッティングを依頼する場合は機密情報の共有が必要となるケースもあります。秘密保持契約(NDA)を結ぶといった対策をとる場合でも、担当者の心理的な負担や情報管理コストの増加は避けられません。
社内でキッティング作業が完結すれば、機密情報を外部に出す必要がないためセキュリティリスクを最小限に抑えられます。内部統制の観点からも、社内環境を熟知している正社員が担当するほうが安全です。
正社員のキッティング作業で懸念されるデメリット
正社員がキッティング作業を担当することで、柔軟な対応力やノウハウの蓄積といったメリットが得られます。しかし、情シス担当者のリソースが限られている状況では、以下のようなデメリットも懸念すべきです。
- 対応規模によって担当者の負担が増しやすい
 - 手作業によるミスが発生しやすい
 - 担当者によって品質に差が出やすい
 
キッティング作業のために正社員の採用を検討する前に、まずは懸念点を把握しておきましょう。
対応規模によって担当者の負担が増しやすい
キッティング対応する端末の台数次第では、担当者の負担が急激に増える可能性もあります。たとえば、新入社員の入社時期や全社的なPCのリプレイス時期には、通常業務に加えて数十台〜数百台規模のキッティング作業が発生します。
情シス担当者がキッティング作業に時間を取られてしまうと、本来注力すべきコア業務が停滞する可能性も少なくありません。また、繁忙期にあわせて一時的に人員を増やすのが難しい状況では、以下のようなリスクも懸念されます。
- 端末の配布遅れで従業員の作業が停滞してしまう
 - キッティング担当者の長時間労働につながってしまう
 
キッティングのためだけに正社員を採用すると、繁忙期と閑散期の業務量に差が生まれ、人員配置の効率が悪くなるといった課題も残ります。
手作業によるミスが発生しやすい
手作業のキッティングには、以下のようなヒューマンエラーが発生しやすいデメリットもあります。
- キッティング手順の対応漏れ
 - アプリケーションのインストールミス
 - システム設定やアカウント情報の入力間違い
 
キッティング作業する台数が増えるほど、人為的なミスの発生確率は高まる傾向にあります。たとえ小さな設定ミスであっても、従業員が端末を使い始めてからでは業務上のトラブルに発展しかねません。
キッティング後のミスが見つかれば、端末の回収や再設定といった手戻り作業が発生します。また、利用者からの問い合わせに対応する工数も想定すべき課題です。
担当者によって品質に差が出やすい(効率化には専門知識が必要)
キッティング作業の品質は、担当する正社員のITスキルや経験に左右されやすい傾向があります。とくに作業が特定の個人に依存する「属人化」に陥らないための注意が必要です。
品質のばらつきを軽減し、キッティングを効率化するためには、以下のような専門的な知識が求められます。
- クローニングの導入
 - MDM(モバイルデバイス管理)の導入
 - バッチ・スクリプト処理の作成
 
しかし、上記のような仕組みの構築・運用には、誰もがすぐに対応できるわけではありません。結果として専門知識をもつ特定の正社員に業務が集中し、退職や異動で不在になるとキッティング作業が滞ってしまうリスクを抱えます。
キッティングを正社員に依頼すべきかどうかの判断基準
ここまで解説してきたように、正社員が担当するキッティング作業にはメリットとデメリットがあります。そこで、以下の観点で「どちらが自社に適しているか」を判断しましょう。
- 正社員に任せたほうがよいケース
 - 外部委託を検討したほうがよいケース
 
やみくもに正社員の採用や外部委託を決めるのではなく、自社の状況を客観的に分析しながら判断すべきです。それぞれ3パターンの事例を解説するので、自社に適したキッティングの運用体制を検討してみてください。
正社員に任せたほうがよいケース
キッティング作業を正社員に任せるほうがよいケースは、以下の3パターンが挙げられます。
- 小規模なキッティング作業を求める場合
 - 情シス部門の長期的な人材育成を求める場合
 - すでにキッティング作業が標準化されている場合
 
1. 小規模なキッティング作業を求める場合
月に数台程度の小規模なキッティング作業であれば、正社員に任せるのが適しています。たとえば、以下のようなケースです。
- 中途採用者が年間1~2名ほど入社する
 - 数か月に1回ほど故障PCの代替機を用意する
 
小規模であれば、情シス担当者が通常業務の合間をぬって対応しても過度な負担にはならないはずです。また、1台からの発注を受け付ける代行業者もありますが、発注手続きや見積もりの取得・契約といった間接的な業務に手間がかかります。
作業よりも手続きに時間がかかる可能性すらあるため、社内リソースでカバーできる範囲であれば正社員に任せるのが得策です。
2. 情シス部門の長期的な人材育成を求める場合
情報システム部門の長期的な体制強化を目指す企業には、キッティングが人材育成の機会としても効果的です。とくにIT分野での実務経験が少ない若手社員は、キッティングをとおしてITインフラの基礎知識を体系的に学べます。
キッティング作業には、以下のような幅広い知識とスキルが求められます。
- PCのハードウェア構成
 - OSやアプリケーションのインストール
 - ネットワークやセキュリティの設定
 
キッティング作業を起点として、将来的にはPCの資産管理やヘルプデスク、さらにはサーバー運用といった専門的な役割へのステップアップも可能です。
3. すでにキッティング作業が標準化されている場合
キッティングの作業手順がすでに標準化されている企業であれば、正社員が担当しても品質のばらつきや業務負荷の増大といった懸念は少なくなります。ただし、誰が作業しても同じ品質を保てるように、詳細な手順書が整備されていることが前提です。
また、クローニングやMDMなどの導入によって作業の大部分が効率化・自動化されている場合は、正社員が担当する負荷が最小限に抑えられます。効率的に対応できる環境が整っていれば、ヒューマンエラーや作業負担の課題を解消しながら柔軟なキッティングが可能です。
関連記事:キッティングを効率化する方法は?外注時の主な委託先も紹介
外部委託を検討したほうがよいケース
キッティング作業で外部委託を検討したほうがよいケースは、以下の3パターンが挙げられます。
- 大量発注を依頼したい場合
 - 繁忙期の社内リソースを確保したい場合
 - 社内に不足するノウハウを取り入れたい場合
 
1. 大量発注を依頼したい場合
数百台〜数千台規模のキッティングが必要な企業には、外部委託が適しています。たとえば、まとめて大量のPCをセットアップするような以下のケースです。
- 毎年の新入社員が数十人~数百人単位で入社する
 - 数年ごとに全社的なPCのリプレイスを実施している
 - オフィスの移転や増床に伴うPCの導入計画がある
 
大規模なキッティングを社内で実施するためには、端末を広げて作業するためのスペースと一時的に保管しておくスペースの確保が必要です。また、短期間で作業を完了するためには、複数人の人員を投入する必要もあります。
専門業者であれば、大量作業に対応できる設備と人員、そして効率的な作業ノウハウを保有しています。物理的な制約やリソース不足の課題を解決するには、外部委託が効率的な手段です。
関連記事:キッティング代行とは?メリットや活用が適しているケースなどを紹介
2. 繁忙期の社内リソースを確保したい場合
キッティング作業の需要には、年間を通じて繁忙期と閑散期の波があります。とくに以下の時期は、キッティング作業が集中しがちです。
- 4月の新入社員の入社時期
 - 予算消化でPCをまとめて購入する時期
 
繁忙期にあわせてキッティング担当の正社員を採用しても、作業が少ない閑散期にリソースを持て余してしまいます。そのため、繁忙期のみ外部委託を活用する方法が効果的です。
必要なタイミングに必要な期間のみ外部リソースを利用することで、社内の業務負荷を平準化できます。キッティングの閑散期にかかわらず、社内リソースを本来注力したいコア業務への割り当てが可能です。
3. 社内に不足するノウハウを取り入れたい場合
手作業によるキッティング作業の効率化・自動化を進めたい企業にも外部委託がおすすめです。とくに社内に知見やスキルが不足している場合には、外部から取り入れるノウハウが有効な解決策となります。
キッティングを専門とする業者は、作業を代行するだけでなく最新の技術動向やデバイス管理の手法にかかわる深い知識を保有しています。委託先のノウハウを自社の運用フローに取り入れることで、キッティング業務全体の改善が可能です。
社内で知識を習得するための時間や教育コストをかけるよりも、外部の専門家に頼るほうが効率的に課題を解決できるケースも少なくありません。
費用対効果を重視するならフリーランスの活用がおすすめ
キッティング作業の外部委託を検討するとき、大規模な専門業者をイメージするかもしれません。しかし、自社の要件にコストや契約条件があわず、依頼すべきかどうかに悩むこともあるはずです。
そこで、正社員の雇用と大手業者への委託の中間的な選択肢として、フリーランスの活用も検討してみましょう。
柔軟な条件で対応を依頼しやすい
フリーランス活用のメリットは、業務量や期間にあわせて契約を結びやすい柔軟さです。たとえば、2〜3台だけ依頼するような「スポット対応」でも、フリーランスであれば条件にマッチする人材を見つけられます。
正社員採用では固定で人件費がかかり続けますが、フリーランスであれば必要な時期のみの契約でリソースを無駄なく活用できます。
また、大手の代行業者に一括で依頼する場合には、契約内容がパッケージ化されているケースも少なくありません。個人契約のフリーランスであれば、業務範囲や稼働時間などの個別要望に応じて柔軟な運用を実現できます。
専門知識に優れた即戦力を確保しやすい
特定分野で優れた専門性をもつ人材の見つけやすさもフリーランス活用のメリットです。たとえば、クラウド環境との連携やVPN設定など、専門知識を要するキッティング環境の構築にはインフラ構築に精通したエンジニアが対応するケースもあります。
専門知識をもつ正社員の採用では、採用活動にかかるコストや採用後の教育期間を考慮する必要があります。しかし、契約後すぐに業務を任せられる即戦力のフリーランスを確保すれば、採用や教育にかかる時間と費用の削減が可能です。
また、フリーランスの人材は、複数の企業でプロジェクトを経験している傾向があります。自社にはない新しい視点や効率化の手法を取り入れることも期待できるため、専門的なスキルをもつインフラエンジニアに支援を依頼するのも効果的です。
関連記事:キッティング作業で求められるエンジニアスキル|人材確保のコツも解説
外部委託のコストを最小限に抑えやすい
フリーランスの活用には、外部委託のコストを最小限に抑えやすいメリットもあります。
正社員を雇用すると、社会保険料や福利厚生費といった間接的な費用が発生します。経営的な視点で見ると、正社員の人件費は企業の業績にかかわらず毎月発生する「固定費」です。
一方でフリーランスへの報酬は、業務の発生に応じて支払う「変動費」として扱えます。フリーランス個人との業務委託契約であれば、間接的な費用はかかりません。
そのため、キッティング作業の需要が少ない時期のコストを最小限に抑えられます。また、プロジェクト単位や作業単位で契約できるため、あらかじめ決められた予算の範囲内で業務を依頼しやすいのも特徴的です。

キッティングの正社員起用に迷うときはクロスネットワークにご相談を
正社員によるキッティングには「ノウハウの蓄積」や「社内事情への深い理解」といったメリットがあります。しかし「担当者の業務負荷」や「品質の属人化」といった、情シス部門の生産性を低下させる懸念事項も考慮すべきです。
本来注力したいコア業務にリソースを集中させるなら、定型的なキッティング作業に外部リソースの活用を検討してみましょう。とくに費用対効果と柔軟性を両立する選択肢としては、本記事で解説したようにフリーランスの活用が有効です。
高度な作業を社内だけで対応するのは難しい場合もあります。キッティング作業の経験豊富なインフラエンジニアを確保するなら、エージェントサービス「クロスネットワーク」にご相談ください。
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				元エンジニアのWebライター。自動車部品工場のインフラエンジニアとして、サーバー・ネットワークの企画設計から運用・保守まで経験。自分が構築したインフラで数千人規模の工場が稼働している達成感とプレッシャーは今でも忘れられない。
					