
ITインフラの開発において下流工程は重要な役割を果たします。要件定義や設計などの上流工程とは異なり、それなりの要員が必要なため人材確保に取り組んでいる企業も多いでしょう。
しかし「下流工程の具体的な業務内容を理解していない」「自社の求める人材の見極め方がわからない」という採用担当者も少なくありません。人材要件が不明瞭なまま採用すると、開発が思うように進まなくなる可能性があります。
そこで本記事では以下の内容について紹介します。
下流工程の業務内容
下流工程に必要なスキル
即戦力を確保する方法
本記事を最後まで読めば、インフラエンジニアの下流工程について理解が深まり、必要な人材を見極める方法がわかります。下流工程のインフラエンジニアをお探しの採用担当者、中小企業の経営者はぜひ参考にしてください。
インフラエンジニアの下流工程とは?
ITインフラの下流工程とは、設計図を基に実際にシステムを構築・運用するフェーズのことで、上の図で言えば構築~システムテストまでが当てはまります。
下流工程には主にヘルプデスク、監視業務、運用保守などが含まれます。これらが適切に実施されないとシステム障害やセキュリティリスクが発生し、企業活動に深刻な影響を与えるかもしれません。
また、下流工程はエンジニアのキャリア形成における基盤となるフェーズでもあります。ここで培われる障害対応スキルやシステム理解は、将来的に上流工程へとステップアップする際の重要な土台となるため、決して軽視できないと言えるでしょう。
下流工程は主に以下のように分類されます。
構築
テスト
運用保守
構築
構築とは、設計図に従ってサーバーの設置やネットワークの配線、ソフトウェアのインストールなど、物理的・論理的にシステムを組み立てる工程です。食事にたとえるなら、レシピを見ながら実際に料理を作るシーンに当たるでしょう。
構築業務では、関係者への事前通知が欠かせません。なぜなら、システムの一時停止や配線工事、機材の搬入、PCの入れ替えなど大掛かりな作業が発生するからです。
インフラエンジニアが注意すべきポイントは、構築中の業務への影響を最小限に抑えるための計画立案です。少なくとも1か月前までに現場への周知を行い、重要なデータのバックアップや持ち物チェック、入退室管理の調整なども必要になることがあります。
関連記事:ITインフラの構築とは?設計との違いと流れ・外注のポイントを解説
テスト
テストとは、構築したITインフラが要件を満たしているか検証する工程のことで、主に以下の順に行われます。
単体テスト:各モジュール・プログラム単体の動作検証
結合テスト:複数のモジュールを組み合わせた動作検証
システムテスト:システム全体の総合的な動作検証
受け入れテスト:本番環境での最終確認テスト
とくにシステムテストは、確認テスト、評価テスト、負荷テストを通じて、セキュリティ面やパフォーマンス面での問題を事前に見つける重要な作業です。
筆者も結合テストまでは滞りなく進んでいたシステムが、受け入れ直前で不具合を見つける場面がありました。過去の失敗事例を元にテスト仕様書をブラッシュアップしていたので、クライアントに直接被害が出ることはありませんでした。
このように、テストは単なる検証作業ではなく、ビジネスの継続性を保証する戦略的活動として位置づけられています。
運用保守
運用保守とは、システムが滞りなく稼働するよう管理・監視、ソフトウェア修正、ハードウェア交換、再発防止策の立案などを行うことです。医療にたとえると健康診断や治療に当てはまるでしょう。
多くのITインフラは企業活動のベースとなるため、数年~数十年単位で運用されるケースがほとんどです。運用期間中には新たな脆弱性の発見、使用ハードウェアの生産終了、社内システムの変更など、さまざまな変化が起こります。
このような変化が起きてもITインフラを安定稼働させることが運用保守の使命で、とくに障害発生時の対応が重要になります。トラブル発生時の一般的な流れは下のとおりです。
対応項目 | 具体的な内容 |
原因の切り分け | ログやアラートを基に異常箇所を特定 |
トラブル箇所の特定 | CPUの使用率やデータベースへの接続数を確認 |
原因特定 | 異常発生前後の変化、直近の改修履歴を調査 |
修正 | 該当プログラムの改修、機器の交換 |
再発防止策の考案 | サーバーの増築、最大接続数の上限変更など |
障害発生時は関係者全員への情報共有が最重要です。
「被害はどの程度か」「どのフェーズまで調査・復旧が終わっているか」など、密に連絡を取ることで迅速な対応が可能になります。
関連記事:ITインフラ運用とは?仕事内容や保守との違い・外注のメリットについて解説
インフラエンジニアの上流工程とは?
上流工程とは、ITインフラの要件を決めるフェーズです。建物にたとえるなら「どんな家を建てるか」を決める建築設計に相当する工程と言えます。上流工程では以下の3つの段階を経て、システムの全体像を明確にしていきます。
要求定義
要件定義
設計
上流工程の品質が、その後の下流工程の生産性と成果を大きく左右するのです。
要求定義
要求定義とは、現状の課題と理想の状態、そのギャップを埋めるために必要な機能を言語化する工程のことです。具体的には以下のように要望を明らかにします。
運用コストを15%削減したい
工場を新設するので専用ネットワークを作りたい
処理速度を3倍に引き上げたい
要求定義でまとめた内容は、RFP(提案依頼書)に反映されます。RFPとは、システム開発会社に対して提案や見積りを依頼するための文書のこと。内製化の場合でも、プロジェクトの方向性を統一するときに役に立ちます。主な記載内容を下にまとめました。
システム概要:開発の背景・目的、解決したい課題、予算、ユーザーなど
提案依頼事項:システムの構成、性能、納期、プロジェクト体制・管理方法など
提案手続き:双方の窓口、提供資料など
構築の条件:期間、作業場所、構築用デバイス、ドキュメントなど
契約事項:支払い条件、保証年数、機密事項など
要求定義で開発目的をはっきりさせておくことで、見当違いな設計・構築を避けることができます。
要件定義
要件定義は、要求定義で汲み取ったニーズをシステムでどう実現するか考えるフェーズです。具体的には、必要な機能、使用技術、納期、工数、構築手順など、実際の開発に必要な要素を細かく決めていきます。
要件定義が不十分だと、想定していたITインフラが構築できず、使い物にならないシステムになる可能性があります。工程が想定より伸びて予算を圧迫するリスクも出てくるでしょう。
このように開発ニーズの精度を上げるうえで、要件定義は疎かにできない工程なのです。
設計
設計とは、要件定義でまとめた内容を構築に反映するために、大まかな枠組みから詳細な内部構造まで決める工程のこと。具体的には「基本設計」と「詳細設計」の2ステップを踏みます。
基本設計
基本設計では、システムの大枠を決めることで外部設計とも呼ばれます。具体的には必要な機能の洗い出しやデータの整理、UIのレイアウトを決めます。
基本設計で重要なのは、認識の違いをなくすことです。以降の工程で外注先(内製の場合はエンジニア)と関わる機会が減ります。基本設計を外注先に任せっきりにすると、見当違いなITインフラができる可能性もあります。少しでも疑問点や不明点があれば、ここで共有しておきましょう。
詳細設計
詳細設計は、基本設計で決めた骨格を実装するために内部構造を定義することです。エンジニアがスムーズに実装するための指示書と考えて良いでしょう。つまり、詳細設計の質次第で構築の生産性・業務効率が変わるのです。
設計フェーズに不備があると、セキュリティ上の脆弱性が残ったり、機能不足(もしくはオーバースペック)になったりします。構築時に設計まで手戻りすると、時間とお金を大幅にロスするため疎かにできません。
また、設計・構築ともに高度な技術と経験が求められるので、即戦力となるインフラエンジニアも必要不可欠なのです。
関連記事:ITインフラの設計とは?構築との違いと流れ・外注のポイントを紹介
インフラエンジニアの平均年収は684.9万円
厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによる令和5年の調査結果では、インフラエンジニアを含むシステムエンジニアの平均年収は684.9万円となっています。
出典:Jobtag
IT業界全体の成長と深刻な人材不足で高水準の年収を維持していることが読み取れるでしょう。
ただし、経験年数やスキルレベルによって年収はおおきく変わるため、優秀な人材確保には適切な年収設定が重要となります。企業にとって、必要なスキルレベルを見極めたうえでの報酬設計が成功の鍵を握るでしょう。
下流工程の年収相場は250万円~600万円
下流工程を担当するネットワークエンジニアの年収は250万円~600万円が相場で、具体的には以下のような業務を担当します。
サーバーの設定や運用監視
ネットワーク機器の設置や保守
トラブル発生時の原因調査や復旧作業
定期的なシステムメンテナンス
未経験から2年目までのエンジニアは約250万~380万円、3年から5年目のエンジニアは約400万~600万円が一般的です。この段階では実務経験を積むことが最優先で、基本的なITスキルの習得と現場での対応力向上が評価のポイントとなります。
上流工程の年収相場は600万円以上
上流工程を担当できるベテランエンジニアの年収は600万円以上、場合によっては900万円を超えることも珍しくありません。
上流工程では、システム全体の設計や要件定義を行い、お客様のニーズを技術的に実現可能な形に落とし込む重要な役割を担います。
6年目以上のベテランエンジニアは、プロジェクトマネージャーやテクニカルアーキテクトとして活躍し、企業の重要プロジェクトの成功を左右する存在となります。年収も高く設定され、企業としては長期的な投資価値のある人材と言えるでしょう。
関連記事:【企業向け】インフラエンジニアの年収目安と低コストで運用する方法を解説
インフラエンジニアの下流工程で必要な専門スキル
下流工程のネットワークエンジニアには、以下の5つの専門スキルが求められます。
ネットワークスキル
データベーススキル
OSの操作スキル
クラウドスキル
セキュリティスキル
これらのスキルは、システムを安定稼働させるための基礎となる重要な技術です。各スキルの習得レベルによって、エンジニアの市場価値や年収が大きく変わるため、採用時の評価基準として活用できます。
ネットワークスキル
ネットワークスキルは、LANやスイッチなどのネットワーク機器を使って企業内のシステムを接続し、安定した通信環境を構築するスキルを指します。とくに重要なのがTCP/IPという通信規則の理解で、世界中で使われている通信の標準ルールです。
このスキルをもつエンジニアは以下のような業務を担当できます。
社内ネットワークの構築・設定
通信トラブルの原因調査と解決
ネットワーク機器の設定変更や最適化
セキュリティ対策の実装
ネットワークは人体にたとえるなら神経・血管のようなものです。どれだけ内臓や骨が健全でも、それらを繋ぐ神経や血管に不備があれば、健康を維持できないでしょう。
ネットワークスキルは、ハードウェアやソフトウェアのポテンシャルを引き出すうえで不可欠と言えます。
関連記事:ネットワークエンジニアに必要なスキルとは?勉強方法やおすすめの資格も紹介
データベーススキル
データベーススキルとは、企業の重要な情報を安全に保管・管理するための技術です。
顧客情報や売上データなど、企業活動に欠かせない情報を効率的に蓄積・検索・更新できるシステムを構築します。主なデータベース技術は以下のとおりです。
SQL(データベースを操作するための言語)
Oracle、MySQL、PostgreSQLなどのデータベース管理システム
このスキルをもつエンジニアがいることで、システム障害時のデータ復旧や、日々の業務で蓄積される大量のデータを効率的に活用できるようになります。
OSの操作スキル
OSの操作スキルは、サーバーを動作させるための基本技術です。OS関連の主な業務を下にまとめました。
サーバーの初期設定とセキュリティ対策
定期的なアップデートとメンテナンス作業
システム監視とログ分析
トラブル発生時の原因調査と対処
主にLinuxとWindows Serverという2つのOSが企業システムで使用されており、それぞれの特徴を理解して適切に運用する能力が求められます。
Linuxは世界中で使われているオープンソース型のOSで、柔軟なカスタマイズと低コストが魅力です。Windows ServerはMicrosoft社製のOSで、他のMicrosoft製品との連携が容易なことから多くの企業で導入されています。
このようなメジャーなOSを使いこなせることも下流工程で重要です。
クラウドスキル
クラウドとは、自社でサーバーを保有せずにインターネット経由でシステムを利用する技術です。オンプレミス(自社にリソースを置くこと)と比べて、初期投資の安さと導入のしやすさ、メンテナンス性から多くの企業が導入しています。
とくに近年は下のようなパブリッククラウドを活用する企業が増えており、このスキルの需要が急速に高まっています。
項目 | AWS | Microsoft Azure | GCP |
市場シェア | 約32% | 約21~24% | 約10% |
主要な強み | 業界リーダーとしての実績 | Office365との連携 | ビッグデータ分析に強い |
料金体系 | 従量課金制 | 従量課金制 | 従量課金制 |
適している企業 | 総合的なクラウド活用 | Microsoftユーザー | データ分析重視 |
※リージョン:クラウドプロバイダーがデータセンターを配置している地域のこと
パブリッククラウドを選択するときには、既存のITインフラ、技術要件、コスト、将来の拡張性などを総合的に検討することが重要です。
セキュリティスキル
セキュリティスキルは、企業の重要情報を外部の脅威から守るための技術で、下流工程になくてはならないものです。
サイバー攻撃は年々増加の一途を辿っています。NICT(情報通信研究機構)の調査によると、2015年から2023年の間に観測されたサイバー攻撃の観測数が約10倍に増加したと発表しています。出典:総務省
さらに、サイバー攻撃の手口も年々高度化・巧妙化しているのが特徴。そのために、インフラエンジニアにも以下のようなセキュリティスキルが求められています。
ファイアウォールの設定と管理
不正アクセスの検知と防御
データの暗号化とアクセス権限管理
セキュリティ監査と脆弱性評価
このスキルをもつエンジニアがいることで、企業は安心してデジタル技術を活用でき、顧客からの信頼も維持できます。また、万が一セキュリティ事故が発生した場合も、迅速な対応と被害の最小化が可能となるでしょう。
インフラエンジニアに必要なソフトスキル
インフラエンジニアにとって専門スキルと同じくらい重要なのが、以下のようなソフトスキルです。
コミュニケーションスキル
プレゼンテーションスキル
プロジェクトマネジメントスキル
論理的思考スキル
課題解決スキル
分析スキル
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルはインフラエンジニアにとって最も重要なソフトスキルの一つです。
システム開発では、経営者の要望を正確に理解し、技術的な制約や解決策をわかりやすく説明する能力が求められます。また、トラブル発生時には、現状を的確に報告し、解決までの見通しを明確に伝えることで経営判断をサポートできるエンジニアが重宝されます。
優秀なエンジニアは「このシステムが止まると売上にどれくらい影響するか」といった経営視点での説明ができるため、適切な投資判断に役立つでしょう。
プレゼンテーションスキル
プレゼンテーションスキルは、システム投資の費用対効果を経営陣に納得してもらうために欠かせないスキルです。
技術的な内容を経営者にとって理解しやすい形で伝え、投資の必要性や効果を説得力をもって説明できるエンジニアは貴重な存在です。たとえば「このセキュリティ対策により年間300万円の被害リスクを回避できます」といった具体的な数字を使って提案ができるなら、経営者も安心して投資決定ができます。
資料作成やプレゼンテーション能力に長けたエンジニアは、社内でのシステム提案がスムーズに進むため、結果的にプロジェクトの成功率も高くなります。
プロジェクトマネジメントスキル
システム開発プロジェクトを成功に導くには、プロジェクトマネジメントスキルが不可欠です。
スケジュール管理、品質管理、コスト管理、リスク管理など、複数の要素を同時にコントロールできるエンジニアは、プロジェクトの遅延や予算超過を防ぎます。とくに中小企業では、限られた予算と人員で最大の効果を上げる必要があるため、効率的なプロジェクト運営ができるエンジニアの価値は計り知れません。
経営者としては、「いつまでに、いくらで、何ができるか」を明確に示してくれるエンジニアがいることで、安心して事業計画を立てることができるでしょう。
論理的思考スキル
論理的思考スキルは、複雑なシステム問題を整理し、最適な解決策を導き出すために必要なスキルです。
システム設計では、さまざまな要素が複雑に絡み合うため、問題を体系的に分析し、筋道立てて解決策を検討する能力が求められます。また、経営者に対して技術的な判断の根拠を説明する際も、論理的な思考プロセスを示すことで、納得感のある提案ができます。
「なぜこの方法を選ぶのか」「他の選択肢と比べてどうなのか」といった質問に対して、明確な理由を示せるエンジニアは、経営者の信頼を得やすいでしょう。
課題解決スキル
インフラエンジニアの日常業務の多くは、さまざまな課題を解決することです。
システムの不具合やパフォーマンスの問題、セキュリティの脆弱性など、次々と発生する課題に対して、迅速かつ的確な解決策を見つける能力が重要です。優秀なエンジニアは、表面的な問題だけでなく、根本原因を見つけて恒久的な解決策を提案できます。
また、予防的な視点をもち、問題が発生する前に対策を講じることで、事業継続に貢献してくれるでしょう。
分析スキル
システムのパフォーマンスデータやログを解析して、改善点を見つけ出す分析スキルも欠かせません。
データに基づいた客観的な判断ができるエンジニアは、感覚ではなく事実に基づいてシステムの最適化を進めることができます。たとえば「この処理を改善すれば業務効率が20%向上する」といった具体的な効果を示せるエンジニアがいれば、投資の優先順位を決めやすくなります。
分析結果を経営指標と結びつけて説明できるエンジニアは、企業にとって非常に価値のある存在となるでしょう。
優秀なインフラエンジニアを確保する方法
優秀なインフラエンジニアの確保は、企業の競争力を左右する重要な経営課題です。人材不足が深刻化する中、効果的な採用手法を知ることが成功への鍵となります。ここでは優秀なインフラエンジニアを確保する方法について解説します。
採用手段 | メリット | 注意点 |
転職エージェント | 潜在層にもアプローチ可能 | 成功報酬が高額 |
スカウト採用 | 求める人材に直接アプローチ可能 | 大量採用には不向き |
SNS採用 | 潜在層にリーチ可能 | 即効性が期待できない |
リファラル採用 | スキルの高い候補者に出会える | 同質的な人材が集まりやすい |
学校訪問 | 将来性のある人材を早期確保 | 即戦力を期待できない |
フリーランスへ | 即戦力を獲得できる | 報酬や業務内容でモチベーションが変動 |
これらの方法を適切に組み合わせることで、自社に最適なエンジニアを見つけられるでしょう。
転職エージェントの活用
転職エージェントの活用は、最も効率的で確実性の高い採用方法の一つです。
企業のニーズに合った候補者を厳選して紹介してくれるため、採用にかかる時間と労力を大幅に削減できます。また、非公開求人を多く保有しているエージェントでは、現在転職活動をしていないエンジニアにもアプローチできる点がおおきなメリットです。
さらに、面接の調整や条件交渉なども代行してくれるため、採用担当者の負担を軽減しながら、質の高い人材を確保できるでしょう。
注意点として、成功報酬が高額(契約年収の3割程度)になる場合があるため、採用コストをしっかりと検討する必要があります。
また、エージェントによって得意分野や保有する人材の質にばらつきがあるため、複数社との比較検討が重要です。
関連記事:インフラエンジニア採用にエージェントを活用するメリットと選び方を解説
スカウト採用
スカウト採用は、求める条件に合った人材に直接アプローチできる効果的な手法です。転職サイトのスカウト機能やLinkedInなどのビジネスSNSを活用すれば、特定のスキルや経験をもつエンジニアに直接コンタクトを取ることができます。
スカウト採用のメリットは、一般的な求人広告よりも開封率や返信率が高く、競合他社との差別化を図りやすいことです。
ただし、一対一の採用活動となるため大量採用には適していませんが、厳選した優秀な人材を獲得したい場合には非常に有効な手段と言えるでしょう。
関連記事:インフラエンジニアをスカウト採用するメリットや成功させる方法を解説
SNS採用
SNSを活用した採用は、インフラエンジニアの潜在層にリーチできる新しい採用手法です。
X(旧Twitter)やFacebookなどで、自社の取り組みや職場環境を発信することで、企業文化に共感するエンジニアを引き寄せることができます。技術イベントやセミナーの開催情報をSNSで発信し、直接エンジニアとの接点を作ることも可能です。
ただし、アカウントが認知されるまで時間がかかるため、即効性は期待できません。また、炎上リスクもあるため、投稿内容の管理や企業のSNSポリシーの策定が必要です。
リファラル採用
リファラル採用とは、既存社員の知人や友人を紹介してもらう方法です。同じ技術コミュニティや過去の職場でのつながりを活用できるため、スキルレベルの高い候補者に出会える可能性が高くなります。
また、紹介者が事前に社風や仕事内容を説明していることが多いのも特徴。入社後のミスマッチが少なく、定着率の向上も期待できます。
注意点として同質的な人材が集まりやすく、多様性を損なうリスクがあります。リファラル採用はあくまで補助的な手段として活用し、他の採用ルートを充実させることが重要です。
学校訪問
将来性のあるエンジニアを早期に確保するために、学校訪問は非常に有効な手段です。
工業系の大学や専門学校を訪問し、学生に対して直接会社の魅力をアピールすることで、優秀な新卒エンジニアを確保できる可能性があります。インターンシップの実施や産学連携プロジェクトを通じて、学生との長期的な関係を築くことで、卒業後の採用につなげることもできるでしょう。
即戦力は期待できませんが、企業文化に馴染みやすく、長期的な成長を見込めます。将来への投資として価値のある取り組みと言えるでしょう。
フリーランスへ業務委託
フリーランスは企業との雇用関係をもたず、業務委託契約により案件を遂行する人材で、近年注目を集めています。
ITフリーランス及びフリーランスエージェント市場白書 2025のデータによれば、2028年にはITフリーランスが45万人を突破し、日本のIT人材全体の40%に達すると予測。
働く場所や時間の自由度が高く、個人の技術力や経験によって収入アップを図れることから、フリーランスへと働き方を変える人材が増えています。企業にとっても、即座に活用できる高スキル人材の獲得、人件費の最適化、柔軟な人材活用など、さまざまな恩恵を受けることができます。
留意すべき点は、報酬額や業務の内容によってモチベーションが大きく変動する人材がいることです。質の高いフリーランスを獲得するには、競争力のある報酬体系やスキルアップの機会などの魅力的な条件を用意することが重要です。
フリーランスのインフラエンジニアに委託するメリット
フリーランスのインフラエンジニアへ委託すると以下のようなメリットを得られます。
教育の手間が省ける
人件費を抑えられる
社外の知見を取り入れられる
教育の手間が省ける
インフラエンジニアの教育には、想像以上の時間と労力が必要です。
未経験者をインフラエンジニアとして育成する場合、まずヘルプデスクや監視業務といった下流工程からスタートし、運用保守、そして設計・構築といった上流工程まで習得するのに3年以上かかるのが一般的です。
その間、指導する先輩社員の時間も大幅に奪われてしまい、結果として全体の生産性が低下する恐れがあります。
一方、フリーランスのインフラエンジニアはすでに専門スキルを身につけているため、プロジェクトの要件を説明すれば即座に作業を開始できます。教育期間中の給与支払いも不要なので、人材育成にかかる総コストを大幅に削減することが可能です。
人件費を抑えられる
フリーランスへの委託により、正社員雇用と比較して人件費を削減できるケースが多く見られます。
正社員として雇用する場合、基本給に加えて社会保険料、退職金積立、福利厚生費などが発生し、実際の給与の1.5倍程度のコストがかかります。一方、フリーランスには報酬以外の支払いは原則として発生しません。
また、フリーランスであれば必要なときに必要な期間だけ契約できるため、プロジェクトベースでの柔軟なコスト管理が実現します。とくに中小企業の場合、常時インフラエンジニアが必要でないケースも多いため、案件ごとの委託はきわめて効率的な選択と言えるでしょう。
社外の知見を取り入れられる
社外の幅広い知見とノウハウを自社のプロジェクトに活用できることも、フリーランスのメリットです。
フリーランスのインフラエンジニアは、さまざまな企業でのプロジェクト経験を積んでいるため、最新の技術トレンドや業界のベストプラクティスに精通しています。
たとえば、クラウド移行やセキュリティ強化といった課題に対して、他社での成功事例を参考にした具体的な解決策を提案してもらえるでしょう。自社では気づかなかった潜在的な問題点を発見してもらえる可能性も高く、長期的な視点でのシステム改善につながることが期待できます。
社内の固定観念にとらわれない外部の視点は、デジタル変革を進めるうえで価値の高い資産となるはずです。
インフラエンジニアの下流工程についてよくある質問
インフラエンジニアの下流工程についてよくある疑問について解説します。下流工程の人材採用で不安のある経営者、採用担当者はここで疑問を解消しておきましょう。
下流工程は未経験でもできる?
下流工程の多くは、未経験者でも習得可能な業務内容となっています。下流工程にはいずれも詳細な手順書が用意されているケースが多く、特殊なスキルを要求されることは少ないためです。
たとえば、ヘルプデスクでは、製品やサービスに関する問い合わせ対応が中心となり、基本的にはマニュアルに沿って対応を行います。監視業務も、監視システムが異常を検知した際に手順書に従って対応するのが主な役割で、高度な判断力よりも正確性と継続性が求められます。
ただし、未経験といっても基本的なITリテラシーは必要で、PCの基本操作や簡単なコマンド入力程度は理解していなければいけません。また保守のようにトラブル対応が多い業務は経験値の差が出るため、ある程度ハイスキルな人材も必要と言えるでしょう。
下流工程に資格は必要?
下流工程の業務を行うために必須の資格はありません。企業によっては入社後に基本情報技術者試験やITパスポートの取得を推奨する場合もありますが、業務開始時点では特定の資格を求められることは少ないのが現状です。
むしろ重要なのは、正確に作業を遂行する能力とコミュニケーションスキルです。ヘルプデスクを例に挙げると、ユーザーからの問い合わせに丁寧に対応する必要があります。監視業務では異常発生時に適切にエスカレーションする判断力が求められます。
とはいえ、資格取得は体系的な知識習得やキャリアアップに有効なので、業務に慣れてから計画的に取得していくのが賢明と言えるでしょう。とくに、将来的に上流工程を目指すのであれば、ネットワークスペシャリストやデータベーススペシャリストといった専門資格が重要になってきます。
部下にどの資格を取らせるべきか、求職者の資格の有用性を見極めたい方は、下の記事も参考にすると良いでしょう。
関連記事:ITインフラ業務におすすめの資格11選!取得へのロードマップ・仕事内容・即戦力の採用方法も紹介
上流工程に移るまで何年かかる?
早い人なら3年程度でキャリアアップできる場合がありますが、一般的には5年程度を見込んでおくのが現実的です。
下流工程から上流工程への移行は、単純に年数が経過すれば自動的に実現するものではありません。各段階で実務経験をしっかりと積み、自主的に資格取得や技術学習を継続する必要があります。
まず1〜2年目でヘルプデスクや監視業務の基礎を固め、3〜4年目で運用保守全般を担当できるレベルまで成長します。その後、設計・構築といった上流工程に携わるためには、ネットワークの専門知識やプログラミングスキルの習得が不可欠。
なお、社内の体制や業務内容によってキャリアアップの機会が制限される場合があります。そのような状況では転職も選択肢の一つとなるため、市場価値の高いエンジニアを育成するには、経験値が積める環境を提供することが重要と言えます。
ネットワークエンジニアに運用保守を依頼するならクロスネットワークにご相談ください
本記事では、インフラエンジニアの下流工程と必要なスキル、適した人材の採用方法などについて解説しました。
下流工程は上流工程で決めた要件を実現する重要なステップです。規模によっては大量のエンジニアが必要で、求められるスキルも多岐に渡ります。未経験者や新卒にも門戸を開きやすい工程なので、人材育成の場としても活用できるでしょう。
しかし「多くのエンジニアを採用・育成する余裕がない」「すぐにでも下流工程を任せられる人材が欲しい」という企業もいるでしょう。
下流工程に知見のあるインフラエンジニアをお探しの方は、ぜひクロスネットワークにご相談ください。クロスネットワークはインフラエンジニア専門のエージェントサービスで、通過率5%と厳しい審査に合格した人材のみ在籍しています。ITインフラの構築・運用保守に知見のあるエンジニアを、クライアントの要望にあわせてスムーズにマッチングします。
採用後のやりとりもサポートしますので、トラブルを回避できるのもメリット。さらに、登録しているインフラエンジニアと合意があれば、正社員登用もできます。
エージェントに相談いただければ、最短3営業日でのアサインも可能です。また、週3日程度の依頼も可能なので、自社の必要リソースにあわせて柔軟に外注できます。
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- クロスネットワークの特徴
- クロスネットワークに登録しているインフラエンジニア参考例
- 各サービスプラン概要
- 支援実績・お客様の声

新卒で大手インフラ企業に入社。約12年間、工場の設備保守や運用計画の策定に従事。 ライター業ではインフラ構築やセキュリティ、Webシステムなどのジャンルを作成。「圧倒的な初心者目線」を信条に執筆しています。