インフラエンジニアが扱うプログラミング言語とは?習熟度の見極め方も紹介

インフラエンジニアが扱うプログラミング言語とは?習熟度の見極め方も紹介

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インフラエンジニアの採用を検討する際、「どのような言語を使えるエンジニアを選ぶべきか?」と悩む方は多いのではないでしょうか。
サーバー構築や運用自動化、ネットワーク管理などインフラ業務にはさまざまなプログラミング言語やツールが活用されます。
また、開発エンジニアとは異なる視点で必要なスキルを見極めることが重要です。

本記事では現役インフラエンジニアである筆者が、インフラエンジニアが扱う主要な言語やツールについてわかりやすく解説します。
インフラの安定運用や業務効率化を実現するために、適切なスキルを持つエンジニアを見極めるポイントを押さえていきましょう。

インフラエンジニアにプログラミング言語が必要な理由

従来、インフラエンジニアはプログラミング言語を扱えなくても、サーバーやネットワークの設定、運用保守業務などを遂行できました。
しかし近年では、IT技術の急速な進化やインフラエンジニアを取り巻く環境の変化に伴い、プログラミング言語のスキルの重要性が増しています。

ここでは、インフラエンジニアにプログラミング言語が必要と言われるようになった3つの理由について解説します。

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業務効率化の実現

サーバーのセットアップ、設定変更、ログ監視、障害対応など多くのインフラ運用タスクは、従来手作業で行われてきました。
しかし、サーバーの増加やシステムの複雑化に伴い、手作業での運用は限界に達するケースも多いでしょう。

プログラミング言語を用いることで、これらのタスクを自動化し、運用コストの削減安定稼働、そしてヒューマンエラーの削減を実現できます。
シェルスクリプトによるサーバーの自動制御、システムリソース間のリアルタイム連携など、自動化によるメリットは計り知れません。

これにより、企業は限られたリソースでより多くの業務を処理し、生産性を向上させることができるのです。

インフラ構成のコード管理の普及

IaC(Infrastructure as Code)は、インフラ構成をコードで管理する手法です。
プログラミング言語に似た記述方法で、インフラの変更履歴管理再現性の向上運用の効率化を実現できます。

TerraformやAnsibleといったツールがIaCを実現し、それぞれHCL(Hashicorp Configuration Language)やYAMLという言語を用います。

また、IaCはインフラ運用における変更管理・テスト・デプロイ(※1)を自動化し、より安全で迅速なインフラ運用を実現する上で重要な役割を果たします。
これにより、企業はインフラ変更に伴うリスクを低減し、ビジネスの継続性を確保することができるようになります。

(※1)デプロイ … 開発が完了したアプリやシステムを本番環境に配置し、実際にユーザーが利用できる状態にするプロセスのこと。

フルスタックエンジニアの需要増加

開発と運用を統合するDevOpsの普及に伴い、開発スキルと運用スキルを兼ね備えたフルスタックエンジニアの需要が高まっています。

インフラの構築・運用にも携わるフルスタックエンジニアにとって、プログラミング言語のスキルは不可欠です。
このスキルを活かすことで、開発チームとの連携が強化され、DevOpsの推進にも貢献できます。
さらに、開発スピードの向上や市場投入までの時間短縮を実現し、最終的には顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

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インフラエンジニアが扱う主要プログラミング言語

インフラエンジニアが日々の業務で使用する主要なプログラミング言語は、主に以下の5つです。
それぞれの言語の特徴やユースケースを理解しておきましょう。

プログラミング言語

説明

ユースケース

Shell Script

Linux環境で広く使われ、簡潔な構文でシステム管理タスクを自動化できるスクリプト言語

  • サーバー管理の自動化
  • バッチ処理
  • ファイル操作
  • ログ解析 など

バッチスクリプト

Windows環境でシステム管理タスクを自動化するためのスクリプト言語

  • Windowsサーバーの管理
  • タスクの自動実行
  • ファイル操作 など

Python

汎用性が高く、豊富なライブラリを持つ言語

  • 自動化スクリプト
  • Webアプリケーション開発
  • データ分析
  • 機械学習 など

Go

高パフォーマンスで並列処理に優れた言語

  • インフラツール開発
  • Webサーバー開発
  • 分散システム開発 など

Ruby

Webアプリケーション開発で人気があり、簡潔で読みやすい構文が特徴

  • Webアプリケーション開発
  • 構成管理ツール(Chefなど)
    の利用 など

それぞれの言語について詳しく解説します。

Shell Script

Linux環境で広く利用されているShell Scriptは、システム管理の自動化に欠かせないツールです。
簡潔な構文で記述できるため、比較的容易に習得できます。サーバーの起動・停止、ファイル操作、ログ解析、バックアップ処理など、さまざまなタスクを自動化することで運用効率を大幅に向上させることができます。

バッチスクリプト

Windows環境で利用されるバッチスクリプトは、Shell Scriptと同様にシステム管理の自動化に役立ちます。
Windowsサーバーの管理、タスクの自動実行、ファイル操作などを効率化できます。

Python

汎用性の高いPythonは、インフラエンジニアにとって非常に強力なツールです。
豊富なライブラリを活用することで、自動化スクリプトの作成、Webアプリケーション開発、データ分析、機械学習など、幅広いタスクに対応できます。
特に、自動化ツール開発データ分析の分野では、Pythonのスキルが重宝されます。

Go

Google社によって開発されたプログラミング言語であるGoは、高いパフォーマンス並列処理能力を誇り、近年ではインフラツール開発やWebサーバー開発で注目を集めています。
コンパイル言語であり、実行速度が速いのが特徴です。大規模なシステム開発や、パフォーマンスが重要なアプリケーション開発に適しています。

Ruby

Webアプリケーション開発で広く利用されているRubyは、Chefなどの構成管理ツールでも使用されています。
簡潔で読みやすい構文が特徴で、初心者にも比較的習得しやすい言語です。

【現役インフラエンジニアのひとこと】
これまで複数のプロジェクトにインフラエンジニアとして参画してきた中で感じたのは、LinuxのShell ScriptやWindowsのバッチスクリプトを扱えるエンジニアがいるかどうかで、開発・運用の業務効率に大きな差が生じるということです。
LinuxやWindowsは基本的なOSであり、開発環境によって異なるものの、非常に多くのシステムで利用されていると考えられます。
クラウドが主流の現在でも、オンプレ・クラウド双方で活用される重要な言語です。


インフラエンジニアが扱うその他のツールや言語

主要プログラミング言語に加えて、インフラエンジニアは様々なツールや言語を駆使して業務を遂行します。
これらのツールや言語の知識もまた、インフラの自動化や効率化、安定稼働に欠かすことはできません。

ツール・言語

説明

ユースケース

Ansible

構成管理ツール。
YAMLという言語で記述し、サーバー設定などを自動化する。

  • サーバープロビジョニング
  • 設定管理
  • アプリケーションデプロイ

Terraform

IaCツール。
HCLという言語で記述し、マルチクラウド環境のインフラをコードで管理できる。

  • クラウドリソースの管理
  • インフラ構成のバージョン管理

Kubernetes

コンテナ(※2)の運用管理と自動化を行うために設計されたツール。
コンテナ化アプリのデプロイ、スケーリング、管理を自動化する。

  • 大規模システム運用
  • マイクロサービスアーキテクチャ

Docker

コンテナを用いてアプリケーションをすばやく構築・テスト・デプロイできるプラットフォーム。
アプリをコンテナ化し、環境差分を最小化する。

  • アプリケーションのポータブル化
  • デプロイの簡素化

SQL

データベース操作言語。
データ操作、抽出、分析などに使用する。

  • データベース構築・管理
  • データ分析

(※2)コンテナ…アプリが動くための環境を一つの箱にまとめることでどこでも同じように動かせる技術のこと。サーバー管理の効率化やシステム管理の自動化ができるメリットがある。

それぞれのツールや言語について、詳しく説明します。

Ansible

Ansibleは、サーバーのプロビジョニング、設定管理、アプリケーションデプロイなどを自動化する構成管理ツールです。

YAMLというシンプルな構文で記述できるため、比較的簡単に習得でき、運用効率の向上に役立ちます。複数台のサーバーへの一括操作や、複雑なワークフローの自動化を容易に実現できます。

Terraform

Terraformは、IaC(Infrastructure as Code)を実現するためのツールです。

AWS・Azure・GCPなど、様々なクラウドプラットフォームに対応しており、インフラ構成をコードで定義・管理できます。
バージョン管理システムとの連携も容易で、インフラ変更の履歴管理や再現性の確保に役立ちます。

Kubernetes

Kubernetesは、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、スケーリング、管理を自動化するコンテナオーケストレーション(※3)プラットフォームです。

コンテナ技術を活用することでアプリケーションのポータビリティを高め、インフラ環境への依存を低減できます。
Kubernetesは、大規模なシステムの運用や、マイクロサービスアーキテクチャを採用する際に特に有効です。

(※3)コンテナオーケストレーション…アプリケーションを大規模に展開できるように、コンテナのネットワークと管理を自動化するプロセスのこと。

Docker

Dockerは、アプリケーションをコンテナ化するためのプラットフォームです。

コンテナは、アプリケーションの実行に必要なライブラリや依存関係などを含む、軽量でポータブルな実行環境です。
Dockerを使用することで、開発環境と本番環境の差異を最小限に抑え、デプロイ作業を簡素化できます。

SQL

SQLは、データベースを操作するための言語です。

インフラエンジニアは、データベースの構築・管理、データの抽出や分析などにSQLを使用します。MySQL、PostgreSQL、Oracle Databaseなど、様々なデータベースシステムで利用されている共通言語であり、インフラエンジニアにとって必須のスキルと言えるでしょう。

言語に強いインフラエンジニアを見極めるポイント

従来のインフラエンジニアにとってプログラミングスキルは必須ではなく、現在でも言語スキルが低いインフラエンジニアは多く存在しています。

しかし、クラウドや自動化の普及により、状況は変化しています。
IaCDevOpsといった新しい手法が主流となり、言語スキルはインフラエンジニアの必須スキルになりつつあります。
これからの時代、プログラミング能力の高いインフラエンジニアは企業の競争力強化に直結するといっても良いでしょう。

では、どのように「言語に強い」インフラエンジニアを見極めるか、3つのポイントを紹介します。

関連記事:【一覧表】インフラエンジニアに求めるスキル15選!資格も紹介

必要な言語・ツールを明確にする

採用活動を開始する前に、自社で必要とされるプログラミング言語やツールを明確に定義することが重要です。
採用するインフラエンジニアの担当業務内容を具体的に想定し、必要なスキルセットをリストアップすることで、無駄な採用コストを抑え、最適な人材を効率的に見つけることができます。

例えば、クラウド環境の運用を想定している場合は、AWSやGCPなどのクラウドプラットフォームに関する知識に加え、TerraformやAnsibleといった構成管理ツールの経験が求められるでしょう。

職務経歴書やスキルシートを確認する

候補者の職務経歴書やスキルシートは、スキルレベルを判断するための重要な情報源です。単に使用経験のあるプログラミング言語やツールを列挙するだけでなく、具体的なプロジェクトでの経験習熟度使用期間などを詳細に確認しましょう。

例えば、「Pythonを用いた自動化スクリプト開発により、サーバー運用コストを30%削減」といった具体的な成果が記載されている場合は、高い評価に繋がるでしょう。

具体的な実務経験を質問する

面接では、職務経歴書やスキルシートだけでは分からない候補者のスキルレベルをより深く理解するために、具体的な実務経験を質問することが重要です。

例えば、以下のように質問を行います。

  • 「Shell Scriptでどのような自動化スクリプトを作成したことがありますか?コード作成時に工夫した点を含めて教えてください」
  • 「Pythonで開発したツールはどのようなものでしたか?開発規模や開発期間、そしてそのツールが解決した課題について説明してください」

このように具体的な質問ができれば、実務レベルでのスキル問題解決能力、そしてコミュニケーション能力を総合的に評価できます。

言語を扱えるインフラエンジニアの採用方法

必要なスキルをもつインフラエンジニアを採用するには、大きく分けて正社員の中途採用とフリーランス活用という二つの方法があります。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社の状況に最適な方法を選択することが重要です。

関連記事:インフラエンジニアの人手不足を解消する優秀な人材の獲得方法を徹底解説

正社員の中途採用

正社員の中途採用は、即戦力となる人材を確保し、組織の強化を図る上で有効な手段です。経験豊富なエンジニアを採用することで、システムへの早期的な理解や、プロジェクトの円滑な推進を期待できます。

しかし、中途採用市場は競争が激しく、優秀な人材の獲得は容易ではありません。また、採用活動には一定の時間とコストがかかり、希望するスキルセットをもつ人材が見つからない場合もあります。
さらに、採用後のミスマッチを防ぐためには、候補者のスキルや経験だけでなく、企業文化との適合性なども慎重に評価する必要があることを押さえておきましょう。

関連記事:インフラエンジニアの採用が難しい理由と優秀な人材を獲得する方法を解説
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フリーランス活用

プロジェクト単位、または一定期間で特定のスキルをもつ人材が必要な場合、フリーランスエンジニアの活用は非常に効果的です。特に、高度なプログラミングスキルニッチな技術をもつ人材を迅速に確保したい場合にメリットを発揮します。

フリーランスエンジニアを活用するメリットは、以下の3点です。

  • 即戦力としてすぐにプロジェクトに参画できる
  • 必要なスキルを持つ人材をピンポイントで確保できる
  • 雇用期間や費用を柔軟に調整できる

中途採用では時間のかかる採用活動や、場合によっては発生する候補者との条件調整の期間を短縮し、プロジェクトをスムーズに開始できます。
また、変化の激しいIT業界において、常に最新の技術やスキルをもつ人材を確保できるというメリットもあります。

言語に習熟したインフラエンジニアを探すならクロスネットワークがおすすめ

この記事では、インフラエンジニアにとってのプログラミング言語の重要性、主要な言語やツール、そして言語に強みをもつインフラエンジニアを見極めるポイントについて解説してきました。
変化の激しいIT業界において、プログラミング言語のスキルをもつインフラエンジニアの重要性は、競争力の強化を目論む企業にとって年々高まっていることがお分かりいただけたと思います。

一方で、そのようなインフラエンジニアの獲得も難しいのが現状です。
そこで、より確実性のある方法としてフリーランス人材が注目されています。

言語やツールなどの十分なスキルと実績を身に付けたエンジニアは、より良い条件や労働環境の改善を目指してフリーランスに転身する傾向があります。

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橋本貴裕
記事を書いた人
橋本貴裕

インフラエンジニア兼Webライター。金融業界の汎用機系エンジニアとしてキャリアをスタート。その後Web系システムのクラウド分野に転向し独立。本職の傍らSEOを学び、ライティングやディレクションの一部業務も経験。得意分野はAWS。