インフラ構築に強いSIer企業の選び方|想定しておきたい注意点も解説

インフラ構築に強いSIer企業の選び方|想定しておきたい注意点も解説

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インフラ構築の要件定義から運用・保守まで一貫して任せられるSIer企業は、IT課題を抱える企業にとって頼れる存在です。しかし、どのSIerに依頼すれば「自社の課題を解決できるのか」と企業選定に迷っていませんか?

本記事では、実績豊富な大手SIer企業の特徴や失敗しないための選定ポイントを解説します。インフラ構築をSIer企業に依頼するメリットや懸念すべき要素、さらにはミスマッチの解決策も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

自社のインフラ要件にあったSIer企業を選ぶポイント

自社のインフラ要件にマッチするSIer企業を選ぶポイントは、以下の観点で技術力や実績をチェックしておくことです。

  • インフラ構築の技術力・提案力
  • 同業界・同事業規模の導入実績
  • 対応可能な業務範囲
  • 費用のバランスと料金体系

期待する成果を得るためにも、自社の事業内容やインフラ構築の目的にあうSIer企業を選びましょう。

インフラ構築の技術力・提案力

インフラ構築をSIer企業に依頼するのであれば、求める技術力や提案力があるかどうかの判断が必要です。とくに企業の技術力はプロジェクトの成否だけでなく、品質や進捗を左右する要素でもあります。

たとえば、オンプレミスからクラウド環境への移行を検討している場合は、AWSやAzureといった主要なクラウドサービスを扱う技術力のあるSIer企業が適任です。技術に対する知見や実績のあるSIer企業であれば、より効果的な提案を期待できます。

また、データベース構築やセキュリティ対策など、得意とする技術領域や導入実績を確認しておくと安心です。公式サイトで公開されている技術情報や導入実績などを参考に、SIer企業の技術力・提案力を判断しましょう。

同業界・同事業規模の導入実績

自社と同じような業界や事業規模の導入実績があるかどうかも、重要視しておきたい判断基準です。過去に類似のプロジェクトを経験している企業であれば、得られた知見を生かした質の高い提案が期待できます。

また、業界特有の規制やセキュリティ要件への知見があるかどうかも重要な観点です。専門用語や業界特有の課題に対する理解があるSIerであれば、要点を把握しながらプロジェクトを円滑に進められます。

公開されている導入事例を確認できる場合は、顧客の企業名やプロジェクトの概要をチェックしておきましょう。

対応可能な業務範囲

SIer企業によって、対応できる業務範囲が異なります。自社が依頼したい業務領域にあわせて、以下の観点で確認しておきましょう。

  • 要件定義から運用・保守まで一貫して依頼できるかどうか
  • 自社が依頼したいフェーズのみ柔軟に依頼できるかどうか

とくにインフラの運用・保守を依頼する場合は、業務のサポート範囲や体制も確認しておくのが効果的です。障害発生時の対応フローや監視サポートの範囲(24時間365日かどうか)など、自社の要求に応えられるSIer企業を選びましょう。

費用のバランスと料金体系

以下のような費用と料金体系の判断も、SIer企業を選ぶうえで重要な観点です。

  • 見積もりの内訳が明確かつ妥当かどうか
  • 初期費用とランニングコストがそれぞれ提示されているかどうか
  • 料金体系や支払い方法が自社の予算計画にあっているかどうか

可能であれば、複数のSIerから相見積もりを取り、各社の提案内容と費用感を比較検討するのもおすすめです。

インフラ構築に強いSIerの大手企業5選

大規模プロジェクトの実績が豊富なSIerの大手企業は、安定した技術力とサポート体制が期待できます。

ここからは、インフラ構築に定評がある代表的な大手SIer企業を5社紹介します。各社の強みや特徴を比較しながら、自社にあうパートナーを選んでみてください。

株式会社NTTデータ

▲出典:株式会社NTTデータ

特徴
  • 日本最大手のSIer企業
  • 大規模なインフラ・システムの構築実績が豊富
こんな企業におすすめ
  • 信頼性・安定性を最優先する大規模インフラの構築を依頼したい企業
企業サイトhttps://www.nttdata.com/jp/ja/

日本最大手のSIer企業である株式会社NTTデータ。金融機関や公共機関など、社会の基盤となる大規模インフラの構築実績が豊富です。

クラウドからオンプレミスまで幅広く対応できる総合力と、高品質なプロジェクトマネジメント力に定評があります。社会の根幹を支えるインフラ構築も手がけており、長年の経験で培われた信頼性と安定性はNTTデータの大きな強みです。

また、最新技術の動向にも精通しており、既存システムの刷新や企業のDX推進を支えるインフラ構築にも対応。大規模なインフラ構築の信頼性や安定性を重視したい企業におすすめです。

富士通株式会社

▲出典:富士通株式会社

特徴
  • 自社開発のハードウェア機器を提供できる
  • オンプレミスのインフラ構築に長年の実績あり
こんな企業におすすめ
  • 既存のオンプレミス環境を生かしながらクラウド化を進めたい企業
企業サイトhttps://global.fujitsu/ja-jp

富士通株式会社は、自社開発のハードウェア機器を提供する国内トップクラスのSIer企業です。サーバーやストレージなど、インフラに欠かせない製品を自社で開発・製造しています。

オンプレミス環境の構築に長年の実績と強みがあり、IT企業の基幹システムを支えてきたノウハウも豊富です。パブリッククラウドを組み合わせた提案力にも定評があるため、既存のオンプレミス環境を生かしながら自社インフラのクラウド化を進められます。

日本電気株式会社(NEC)

▲出典:日本電気株式会社(NEC)

特徴
  • 官公庁や公共施設の大規模なICTインフラ構築の実績が豊富
  • セキュリティ要件の厳しいインフラ構築が可能
こんな企業におすすめ
  • 高度なセキュリティ要件が求められるインフラを構築したい企業
企業サイトhttps://jpn.nec.com/

官公庁や公共施設など、大規模なICTインフラ構築の実績が豊富な日本電気株式会社(NEC)。通信インフラ構築から始まった企業の歴史があり、とくにネットワーク技術において国内屈指の実力を誇ります。

また、生体認証やAIといった先進技術とインフラを組み合わせた「独自のソリューション提案」も強みの1つです。たとえば、顔認証技術を活用した入退室管理システムと連携するインフラ基盤も構築できます。

個人情報や機密情報など、高度なセキュリティレベルが求められるインフラ構築にはNECが適任です。

株式会社日立製作所

▲出典:株式会社日立製作所

特徴
  • IT(情報技術)とOT(制御・運用技術)の融合を
    強みとする大手総合電機メーカー
  • 電力・交通などの社会インフラ分野で豊富な実績がある
こんな企業におすすめ
  • IoT技術を活用したインフラ基盤を構築したい企業
企業サイトhttps://www.hitachi.co.jp/

株式会社日立製作所は、IT(情報技術)とOT(制御・運用技術)の融合を強みとする大手総合電機メーカー系のSIer企業です。

  • IT:一般的なコンピューターシステムの技術
  • OT:工場の生産ラインや交通システムなどを制御・運用する技術

大手総合電機メーカーの強みを生かし、電力や交通といった社会インフラ分野で豊富な実績を積み重ねています。また、企業の通信インフラ構築にも取り組んでおり、生産効率を向上させるIoTやDXなどの技術を取り入れたい企業にもおすすめのSIerです。

株式会社大塚商会

▲出典:株式会社大塚商会

特徴
  • 中小企業向けの独立系SIer
  • インフラやシステム導入後の運用・保守サポートが手厚い
こんな企業におすすめ
  • 社内にIT専門の担当者が少ない中小企業
企業サイトhttps://www.otsuka-shokai.co.jp/

株式会社大塚商会は、中小企業向けのITソリューション提供で突出したシェアを占める独立系のSIer企業です。特定のメーカーに縛られない「マルチベンダー」として、顧客の課題に適した製品・サービスの組み合わせを提案できる強みがあります。

また、機器やサービスの導入から活用支援まで、ITにかかわる幅広いサポートに対応。インフラ導入後の運用・保守サポートが手厚いため、社内にIT専門の担当者がいない企業でも安心して任せられます。

インフラ構築をSIer企業に依頼するメリット

ここからは、インフラ構築をSIer企業に依頼する3つのメリットを解説します。

  • 要件定義から運用・保守まで一貫して依頼できる
  • 自社にノウハウやリソースがなくても依頼できる
  • 大規模かつ複雑なプロジェクトを依頼できる

品質の担保や管理工数の削減など、自社の課題解決につながるかどうかの判断材料として活用してみてください。

要件定義から運用・保守まで一貫して依頼できる

SIer企業にインフラ構築を依頼すれば、要件定義から運用・保守まで一貫して任せられます。プロジェクト全体の管理も依頼できるため、自社のリソースや管理工数の最適化も可能です。

とくに複数の企業がかかわる大規模なプロジェクトでは、窓口の一本化によるコミュニケーションの効率化を期待できます。また、プロジェクト全体を外部委託できるため、社内リソースを本来のコア業務に割り当てられるメリットも得られます。

自社にノウハウやリソースがなくても依頼できる

SIer企業に業務を一貫して任せられるため、社内に専門部署がなかったりエンジニアがいなかったりしてもインフラ構築を実施できます。とくに専門知識が求められるインフラ構築では、専門部署の確保や人材採用に苦戦する企業も少なくありません。

関連記事:インフラエンジニアの採用が難しい理由と優秀な人材を獲得する方法を解説

インフラエンジニアを採用・育成するには、少なからず時間と費用がかかります。専門家チームとして即戦力の技術力をもつSIerを活用すれば、事業のスピードを落とさずにインフラ基盤の構築・整備が可能です。

大規模かつ複雑なプロジェクトを依頼できる

大規模で複雑なインフラ構築に対応できる組織力もSIer企業の強みです。データベースやセキュリティなど、複数の技術領域がかかわる複雑な要件にも対応できます。

とくに大手SIer企業の魅力は、豊富な実績に基づく品質・進捗の優れたマネジメント力です。大規模プロジェクト特有のリスク管理やスケジュール管理に長けているため、安定したプロジェクト運営が期待できます。

SIer企業にインフラ構築を依頼するうえでの懸念事項

SIer企業への依頼には、外部のリソースや知見を活用できるメリットがあります。しかし、以下のように、依頼する前に考慮しておきたい懸念事項も少なくありません。

  • 急な仕様変更や小規模な改修に対応しにくい
  • 担当エンジニアのスキルレベルを指定しにくい
  • 依頼コストが高額になりやすい

プロジェクトの規模や求めるスピード感によっては、SIer企業への依頼が必ずしも最適な選択肢とは限りません。自社の状況と照らし合わせながら、依頼するかどうかの判断に役立ててみてください。

急な仕様変更や小規模な改修に対応しにくい

急な仕様変更や小規模な改修など、SIer企業は柔軟な対応に適していないケースもあります。主な要因は、多くのSIer企業が採用しているウォーターフォール型の開発手法や契約形態です。

ウォーターフォール型では上流工程から下流工程へと順に進めるため、急な仕様変更に対して影響範囲を調査する時間だけでなく、追加コストが発生する可能性もあります。近年ではアジャイル型の方針を採用するSIer企業も増えていますが、まだ主流とはいえない状況です。

急な仕様変更や小規模な改修を依頼したい場合は、契約の柔軟性や費用対効果に納得できるかどうかを慎重に判断しましょう。

担当エンジニアのスキルレベルを指定しにくい

SIer企業にインフラ構築を依頼する場合は、プロジェクトを担当する個々のエンジニアを選定できません。発注側が契約を結ぶ相手は企業であり、人員の配置は基本的にSIerに委ねられます。

そのため、自社が求める特定の技術に精通したエンジニアが担当になるとは限りません。技術的な質問への回答に時間がかかったり、意図が正確に伝わらなかったりすると、プロジェクトの進行に影響を及ぼす可能性もあります。

また、大規模なプロジェクトでは、下請けや孫請けといった多重構造となるケースも少なくありません。実際に作業するエンジニアの顔が見えにくくなるため、コミュニケーションの難易度が高まります。

依頼コストが高額になりやすい

SIer企業への依頼コストは、比較的高額になりやすい傾向があります。なぜなら、要件定義から運用・保守までプロジェクト全体を任せられる反面、管理費や営業費などを含めたコストが見積もりに含まれるからです。

また、複数の企業がかかわる大規模なプロジェクトでは、発注側の支払総額が想定以上に膨らむ可能性もあります。もちろん、SIer企業の組織力や大規模な案件への対応力には価値があるため、自社の課題や要件に対する費用対効果を慎重に判断しましょう。

インフラ構築の外部委託先はSIer企業だけではない

SIer企業は大規模なインフラ構築において頼りになる存在ですが、すべてのプロジェクトにとって必ずしも最適な選択肢とは限りません。インフラ構築の外部委託を検討するなら、以下のようにSIer企業以外の選択肢もあります。

  • SES
  • エンジニア派遣
  • フリーランス

それぞれの特徴を理解しながら、自社の課題解決に適した選択肢を検討してみましょう。


【派遣・業務委託・SES】インフラエンジニア契約形態比較表

インフラエンジニアの契約形態を理解できていないと、十分な成果が得られなかったり、トラブルにつながったりする恐れが。 本資料では、そんなインフラエンジニアの契約形態について比較・解説します。

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SES

一時的なリソース不足を迅速に解消したい場合は、SES(システムエンジニアリングサービス)の活用が効果的です。自社で採用活動を行うよりも、プロジェクトに必要なスキル・経験のある人員をスムーズに確保できます。

SESを活用するうえで把握しておきたいポイントは、発注側がエンジニアに直接的な業務指示を出せないことです。契約形態が派遣契約と類似していますが、エンジニアの所有権と指揮命令権はSES企業側にあります。

また、契約形態は「準委任契約」が一般的です。エンジニアが成果物に対する責任を負わないため、自社の社員が品質・進捗の管理を担当する必要があります。

関連記事:インフラエンジニアのSES採用とは?フリーランスとの比較も解説

エンジニア派遣

エンジニア派遣を活用すれば、派遣会社に登録しているエンジニアを自社の従業員と同様に確保できます。契約形態がSESと類似していますが、エンジニア派遣は指揮命令権が「発注側の企業」にあるのが大きな違いです。

エンジニア派遣もSESと同様に、最小限の採用コストで一時的なリソース不足を補えるメリットがあります。ただし、派遣社員を受け入れられる期間は、派遣法によって原則として「最長3年まで」と定められているため注意が必要です。

関連記事:インフラエンジニアを派遣会社で採用するメリット|他の契約との違いも解説

フリーランス

特定の技術領域に特化したエンジニアを確保したい場合は、フリーランスの活用が効果的です。企業に所属せず、個人で活動するフリーランスには、AWSやコンテナ技術などの専門スキルや実務経験をもつ人材も数多く存在します。

また、プロジェクト単位や一定期間のみの業務委託など、柔軟な契約形態で依頼しやすいのも魅力です。エンジニア派遣のように契約期間の制限がないため、運用や保守を長期的に任せるような案件も依頼できます。

さらに、SESとは異なり、フリーランスは指揮命令権のあるメンバーとしてプロジェクトへの参画が可能です。工夫次第で社内にノウハウを共有・蓄積しやすいメリットもあります。

ただし、個人と契約するため、信頼できる人材かどうかの判断や契約・労務管理が必要です。人材の見極めに不安を感じる場合は、人材紹介や契約のサポートを依頼できるエージェントサービスの活用も検討してみましょう。

関連記事:フリーランスのインフラエンジニアに業務を委託する流れとは?単価相場や注意点も解説

インフラ構築をSIer企業以外に依頼するならクロスネットワークがおすすめ

SIer企業にインフラ構築を依頼すれば、工程全体を一貫して任せられるメリットがあります。ただし、契約のコスト・スピード感・柔軟性といった懸念事項もあるため、必ずしも自社の要件にマッチしているとは限りません。

SIer企業の強みが自社の要件にマッチしていない場合は、フリーランスをはじめとするSIer企業以外の選択肢を検討するのも効果的です。とくにフリーランスエンジニアを活用すれば、必要なスキルや期間にあわせて柔軟な契約条件で人材を確保できます。

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伊藤拓也
記事を書いた人
伊藤拓也

元エンジニアのWebライター。自動車部品工場のインフラエンジニアとして、サーバー・ネットワークの企画設計から運用・保守まで経験。自分が構築したインフラで数千人規模の工場が稼働している達成感とプレッシャーは今でも忘れられない。

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