ネットワークエンジニアの人材不足が与える影響と解消手段を解説

ネットワークエンジニアの人材不足が与える影響と解消手段を解説

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ネットワークエンジニアの人手不足は、多くの企業が直面している深刻な課題です。
特に中小企業では、インフラやネットワーク運用のリソース不足が業務に大きな影響を与えていることでしょう。
しかし、正社員の採用には時間とコストがかかり、既存のリソースだけでは解決できない状況も多いのが現実です。

本記事では、現役のインフラエンジニアがネットワークエンジニアの人手不足を解消するための選択肢を解説し、企業にとって最適な方法を見極めるためのヒントを提供します。
ぜひ、自社の状況に合った方法を見つけるための参考にしてみてください。

関連記事:即戦力のネットワークエンジニアを採用するコツとは?採用率を高めるポイントも解説

ネットワークエンジニアの人手不足の現状

ネットワークエンジニアの人手不足は、多くの企業が直面し得る深刻な課題です。
企業のITインフラを支えるネットワークの維持・管理には専門知識が必要ですが、適切な人材の確保が難しくなっています。
まずはIT業界全体の傾向を踏まえつつ、ネットワークエンジニアの人材不足がなぜ起こっているのか、その現状について詳しく解説します。

業界全体におけるエンジニア不足

▲出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」

IT業界全体で続く、慢性的なエンジニア不足。
経済産業省が2019年に発表したIT人材需給に関する調査によると、IT人材需要との需給ギャップから、2030年時点において最高で約79万人のIT人材不足が生じる懸念があることが試算されています。
これは、企業のDX推進や新たな技術の登場によりITニーズが高まる一方で、それを担う人材の育成や確保が追いついていない現状を示しています。

この全体的な人材不足は、特定の専門分野であるネットワークエンジニアにも大きな影響を与えていると考えられるでしょう。

ネットワークエンジニアの人材不足

▲出典:株式会社バッファロー「中小SIerの業務負担に関する実態調査」

IT業界全体のエンジニア不足の中でも、ネットワークエンジニアはその専門性の高さから特に人材確保が難しい分野の一つです。
株式会社バッファローが2024年に実施した「中小SIerの業務負担に関する実態調査」では、中小SIer経営者の43.0%が、業務量に対してネットワーク機器の保守・管理担当者の人数が足りないと感じていることが明らかになりました。

具体的には、「あなたの会社のネットワーク機器の保守・管理担当者の人数は、業務量に対して十分だと思いますか」という質問に対し、「あまりそう思わない」が31.0%、「全くそう思わない」が12.0%という結果が出ています。
この調査結果からも、ネットワークエンジニアのリソース不足が企業にとって喫緊の課題であることがわかります。

DXを推進する人材の不足

▲出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)

多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していますが、このDXを実現するためには高度なITスキルをもつ人材が不可欠です。
IPAが発行するDX動向2024によると、DXを推進する人材の「量」および「質」の両面で「大幅に不足している」という回答が増加しており、人材不足が深刻化していることが示されています。

DX推進には、クラウド、セキュリティ、データ活用など多岐にわたる技術が必要であり、これらを支えるネットワークインフラの設計・構築・運用を担うネットワークエンジニアは、DX人材の中でも特に需要が高いポジションです。
しかし、前述の通りネットワークエンジニア自体が不足しているため、DX推進の大きな障壁となっています。

ネットワークエンジニアの人手不足による企業への影響

ネットワークエンジニアの人手不足は、単にIT部門のリソースが足りないという問題に留まりません。
企業のITインフラはビジネス活動の基盤であるため、その運用・管理を担う人材の不足は企業全体のさまざまな側面に悪影響を及ぼします。

ここでは、ネットワークエンジニアの人手不足によって具体的にどのような影響が企業に及ぶのかを解説します。

業務効率の低下

ネットワークエンジニアが不足すると、日常的なネットワーク機器の監視・保守・トラブル対応といった業務が滞りがちになります。
迅速な対応が難しくなることでネットワーク障害発生時の復旧に時間がかかったり、新しい機器・製品の設定変更や導入が遅延したりもするでしょう。
その結果、システム全体のパフォーマンスが低下したり、社員がITリソースをスムーズに利用できなくなったりするため、業全体における業務効率の大幅な低下に繋がりかねません。

特に、IT担当者が他の業務と兼任している中小企業では一人当たりの負担が増加し、対応がさらに遅れやすくなる傾向があります。

関連記事:ネットワークエンジニアの仕事内容とは?年収や資格・将来性などもわかりやすく解説

セキュリティリスクの増加

ネットワークセキュリティは、常に最新の状態を保つための継続的な監視と対策が重要です。
しかし、人手不足によりセキュリティパッチの適用が遅れたり、ファイアウォールや侵入検知システムの設定見直しが不十分になったりするリスクが高まります。

また、不審な通信の監視体制が手薄になることで、マルウェア感染や不正アクセスといったサイバー攻撃への対応が遅れ、機密情報の漏洩やシステムダウンといった重大なセキュリティインシデントにつながる危険性があります。
日々進化するサイバー脅威に対抗するためには、専門知識をもつネットワークエンジニアの存在が不可欠なのです。

機会損失とコスト増加

ネットワークエンジニアの人手不足は、新しいITシステムの導入やネットワーク環境の刷新といった、ビジネス成長に必要な取り組みを遅らせる要因となります。
これにより、競合他社に比べて新しいサービスや業務効率化ツールを導入できず、ビジネスにおける機会を損失する可能性があるでしょう。

また、ネットワーク障害が発生した場合の復旧遅延は、業務停止時間を長期化させ、直接的な経済的損失につながります。
さらに、不足しているリソースを補うために緊急性の高い対応を外部の高額なスポット契約に頼らざるを得なくなるなど、予期せぬIT運用コストの増加を招くことも少なくありません。

ネットワークエンジニアに必要とされるスキルセット

ネットワークエンジニアの人手不足が企業に与える影響を理解したうえで、次に重要なのは「どのようなスキルセットをもつエンジニアを採用すべきか」という点です。
業務の効率化やセキュリティリスクの低減を図るためには、ネットワークエンジニアがもつべき具体的なスキルを明確にすることが求められます。

ここでは、ネットワークエンジニアに必要なスキルセットを解説し、企業が人手不足を解消するために求めるべきスキルセットを紹介します。

関連記事:ネットワークエンジニアに必要なスキルとは?勉強方法やおすすめの資格も紹介

必要なネットワーク技術

ネットワークエンジニアにまず求められるのは、ネットワークの基盤となる技術に関する深い知識です。
具体的には、TCP/IPプロトコルスタックの理解、ルーティングやスイッチングの仕組み、VLAN、VPNといった基本的なネットワーク技術の知識は必須です。

加えて、企業の規模や要件に応じたネットワークの設計・構築・運用・監視、そして障害発生時の原因特定と復旧を行うトラブルシューティング能力が重要になります。
近年では、SDN(Software-Defined Networking)やネットワーク仮想化といった新しい技術が登場しており、これらの知識や経験も価値が高まっています。

セキュリティ技術

サイバー攻撃が日々巧妙化する中で、ネットワークセキュリティに関するスキルはネットワークエンジニアにとって重要な要素となっています。
ファイアウォールやIDS/IPS(侵入検知・防御システム)の設定・運用VPNを用いた安全なリモートアクセスの構築認証技術(Active Directory、RADIUSなど)の管理脆弱性情報の収集と対策実施といったスキルが求められます。

また、セキュリティインシデント発生時の初動対応や、ログ分析による原因究明能力も重要です。
ネットワークの安定稼働だけでなく企業の情報資産をサイバー脅威から守るためには、セキュリティに関する専門知識と実践的なスキルをもつエンジニアの存在が不可欠です。

クラウド環境でのネットワーク運用

企業のクラウドサービスの利用が進むにつれて、クラウド環境におけるネットワークの知識とスキルがネットワークエンジニアにとってますます重要になっています。
AWS・Microsoft Azure・Google Cloud Platformといった主要なクラウドプラットフォーム上での仮想ネットワークの設計、ネットワークセグメントの構成、経路設定、安全な接続(VPNや専用線など)の構築、負荷分散装置の設定、仮想ファイアウォールやアクセス制御リストによる通信制御といったスキルが求められます。

オンプレミス環境とクラウド環境が混在するハイブリッド環境の設計・運用経験も、現代のネットワークエンジニアには非常に有用なスキルセットと言えるでしょう。

関連記事:ネットワークエンジニアとクラウドエンジニアの違いと課題別の適任者を解説

ネットワークエンジニアの人手不足をカバーするインフラエンジニア

ネットワークエンジニアの専門性と採用の難しさについて触れてきましたが、企業が直面するネットワーク関連の課題は必ずしも高度なネットワーク設計や構築スキルをもつ専任のエンジニアでなければ解決できないものばかりではありません
ITインフラ全体を広く担当する「インフラエンジニア」が、ネットワーク分野の一部をカバーすることでネットワークエンジニアの人手不足を補うことが可能です。

関連記事:ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違いとは?採用ポイントも解説

多様化するインフラエンジニアの役割

近年のIT環境の変化に伴い、「インフラエンジニア」という職種の役割は多様化しています。
かつてはサーバー・ネットワーク・ストレージなどがそれぞれ独立した専門分野でしたが、クラウドコンピューティングや仮想化技術の普及により、これらの境界線は曖昧になりつつあるのではないでしょうか。

現代のインフラエンジニアは、サーバーOS、ミドルウェア、データベースなどの従来からの担当領域に加え、ネットワーク、セキュリティ、さらにはクラウド環境まで、幅広い知識とスキルをもつことが求められる傾向にあります。
このような多様なスキルセットをもつインフラエンジニアは、ネットワーク専任ではありませんが、ネットワーク関連の基本的な設定や運用業務を担うことでネットワークエンジニアの負担を軽減し、人手不足をカバーする存在となり得るのです。

関連記事:インフラエンジニアの職種内容を徹底解説!人材採用のポイントも紹介

ネットワーク分野における一般的な担当範囲

多様なスキルをもつインフラエンジニアが、ネットワーク分野で担当し得る範囲は多岐にわたります。
例えば、サーバーとネットワークスイッチの接続設定、仮想環境におけるネットワーク構成の管理、ファイアウォールやロードバランサーといったサーバー関連のネットワークの基本的な設定変更などが挙げられます。

また、ネットワーク機器(製品)の死活監視やリソース監視、軽微なネットワークトラブル発生時のサーバー側からの切り分けや一次対応なども、インフラエンジニアの担当範囲となることが一般的です。

これらのネットワークに関する基礎的な運用・管理業務は、門的なネットワーク設計スキルがなくともインフラエンジニアがもつ幅広い知識と経験で対応可能な範囲と言えます。
これにより、ネットワーク専任のエンジニアが不足している状況でも、必要なネットワーク関連業務を継続し人手不足による影響を軽減することが期待できます。

【現役インフラエンジニアのひとこと】

筆者である私は、インフラエンジニアとして15年、ITインフラの現場を見てきました。
特にネットワーク業務の担当者が、時代と共に変わってきたと感じています。

私がオンプレミス環境を担当していた頃、物理的なネットワーク機器の設定や管理は専門知識をもつネットワークエンジニアが中心でした。

しかし、クラウド環境が普及した現在では、ネットワークも仮想化されWebコンソールなどで操作することが増えました。
これにより、ネットワークエンジニアでなくとも幅広いインフラ知識をもつインフラエンジニアがネットワーク関連の作業を担当するケースが増えています
私自身も、クラウド環境ではネットワークの設定や管理を日常的に行っています。

もちろん高度な設計や複雑なトラブル対応には専門性が求められますが、クラウド環境であれば基礎的なネットワーク運用・管理はインフラエンジニアでも対応可能な範囲が広がっています
人手不足に悩む企業様は、自社のインフラエンジニアでどこまでネットワーク業務をカバーできるか、検討してみる価値は大きいでしょう。

関連記事:【一覧表】インフラエンジニアに求めるスキル15選!資格も紹介

ネットワークエンジニアの人手不足を解消する手段

ITインフラを安定稼働させビジネスの成長を支えるためには、ネットワークエンジニアあるいはネットワーク分野をカバーできるインフラエンジニアの確保が重要な課題です。
多くの企業が人材不足に悩むなか、どのようにして必要な人材を確保すれば良いのでしょうか。

ここでは、企業がネットワークエンジニアやインフラエンジニアの人手不足を解消するための主な手段として「正社員採用」と「フリーランス活用」に焦点を当て、それぞれの特徴とメリット・デメリットを比較します。
自社の状況に最適な解決策を見つけるための参考にしてください。

項目

メリット

デメリット

正社員採用

  • 長期的な視点での育成が可能
  • 企業文化への適合度が高い
  • 組織内での情報共有がスムーズ
  • 安定したリソースとして継続的
    な業務を任せやすい
  • 機密保持のリスクが比較的低い
  • 採用活動に時間とコストがかかる
  • 給与や福利厚生など固定費が発生する
  • 特定の専門スキルをもつ即戦力の採用
    が難しい場合がある
  • 急な業務量の増減に対応しにくい
  • 採用後のミスマッチリスクがある

フリーランス活用

  • 必要なスキルをもつ即戦力を
    短期間で確保できる
  • プロジェクトや期間に応じた
    柔軟な契約が可能
  • 人件費を変動費化できる
    (必要なときに必要なだけ依頼)
  • 特定の専門分野に特化した
    高度なスキルをもつ人材を
    探しやすい
  • 正社員採用よりも採用コストや
    手間を抑えられる可能性がある
  • 企業文化への定着や帰属意識は期待
    しにくい
  • 組織内での情報共有に制限が生じる
    場合がある
  • 契約期間満了後のリソース確保が必要
  • 業務範囲や進捗管理の明確化がより
    重要になる
  • 機密保持については契約での対策が
    必要

正社員採用

正社員採用は、ネットワークエンジニアやインフラエンジニアを長期的に組織に迎え入れ、育成していくことを目的とした手段です。
最大のメリットは、人材を腰を据えて育成できる点にあります。
自社のシステムやビジネスに深く関わってもらいながらスキルアップを図ることができ、企業文化への適合も期待できます。
これにより安定したリソースとして継続的に業務を任せることが可能となり、組織内での情報共有もスムーズに行われます。

一方で、正社員採用には時間とコストがかかるというデメリットがあります。
特に専門性の高いネットワークエンジニアの採用は競争率が高く、求めるスキルをもつ人材を見つけるまでに長い期間と多大な採用コストがかかることが一般的です。
また、一度採用すると人件費が固定費となり、急激な業務量の変動に対して柔軟な人員調整が難しいという側面もあります。

関連記事:インフラエンジニアの採用が難しい理由と優秀な人材を獲得する方法を解説

フリーランス活用

フリーランス活用は、必要な期間だけ特定のスキルをもつ外部のエンジニアと契約する、柔軟な人材確保手段です。
この方法の大きな利点は、必要なスキルをもつ即戦力を比較的短期間で確保できる点にあります。
プロジェクト単位や一時的なリソース不足に対して迅速に対応でき、自社では不足している特定の高度な専門知識をもつ人材をピンポイントで活用することも可能です。

また、人件費を固定費ではなく変動費として扱えるため、必要なときに必要なだけコストをかけることができ、予算を効率的に活用しやすいというメリットもあります。
正社員採用に比べて採用プロセスにかかる手間やコストを抑えられる可能性もあります。

ただし、フリーランスは企業への帰属意識が正社員ほど高くない場合があるため、業務範囲や納期、機密保持などについて契約で明確に取り決めることや、プロジェクト管理を適切に行うことがより重要になります。

関連記事:インフラエンジニア案件をフリーランスに業務委託する方法とメリットを解説

ネットワークエンジニアの人手不足解消ならクロスネットワークがおすすめ

この記事では、ネットワークエンジニアの人手不足により企業の業務効率低下やセキュリティリスク増大に繋がっている現状、その解消手段としての正社員採用とフリーランス活用それぞれの特徴について解説してきました。
特に、限られたリソースの中でIT運用を行う多くの企業にとって、いかに迅速に、そしてコスト効率良く必要なIT人材を確保するかが大きな課題となっています。

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橋本貴裕
記事を書いた人
橋本貴裕

インフラエンジニア兼Webライター。金融業界の汎用機系エンジニアとしてキャリアをスタート。その後Web系システムのクラウド分野に転向し独立。本職の傍らSEOを学び、ライティングやディレクションの一部業務も経験。得意分野はAWS。

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