SIerの仕事内容を解説|実はフリーランスで解決できるケースも?

SIerの仕事内容を解説|実はフリーランスで解決できるケースも?

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システム開発から導入・運用まで幅広く担当するSIerは、企業のIT課題を解決する重要なパートナーです。しかし、SIerの業務範囲が幅広いからこそ、委託内容やコストによっては自社の目的に「本当にマッチしているのか?」と迷うケースも少なくありません。

そこで今回は、SIerの仕事内容をわかりやすく解説します。また、SESやフリーランスとの比較も解説するので、自社のニーズにマッチする委託先かどうかを判断してみてください。フリーランスの活用が、より効果的な選択肢となるケースも紹介します。

SIerとは|システム開発のリスクを減らす伴走者

出典:総務省|平成26年版 情報通信白書|世界のICT産業構造の変化

SIer(システムインテグレーター)は、システムの企画から開発、運用・保守まで一貫して請け負う企業の総称です。システム開発をとおして、顧客が抱える課題を解決します。

システム開発やインフラの導入には、専門的な知識や技術が必要です。しかし、IT分野に詳しくない企業も少なくないため、SIerが伴走者のような役割を担います。

上図に示すようにSIerの担当領域は多岐にわたり、企業のIT戦略全般をサポートしています。

システム開発の設計から運用まで請け負う

SIerの仕事内容は、システム開発に関わる各工程の総合的な支援です。以下のように、企画から運用までプロジェクト全体を担当します。

  • 必要な機能のヒアリング
  • システムの全体像を描く要件定義
  • システム化を実現するための設計
  • プログラムをつくる開発
  • 完成したシステムの動作確認(テスト)
  • テストを通過したシステムの導入
  • 導入後の安定稼働をサポートする運用・保守

さらに、サーバーやネットワークといったインフラ構築もSIerの業務範囲に含まれます。インフラエンジニアの確保に悩む企業でも、インフラ基盤からシステム開発まで安心してプロジェクトを任せられます。

関連記事:インフラエンジニアとSIerの違いとは?委託先選びの判断基準を解説

自社に開発の知見がなくても依頼できる

SIerに外部委託するメリットは、自社にシステム開発の専門知識や技術がなくてもプロジェクトを進められることです。

SIerは「請負契約」にもとづき、成果物の完成責任を負うのが一般的です。そのため、発注側の企業は開発の細かなプロセスを管理する必要がなく、自社の事業に集中しながらプロジェクトの完了を一任できます。

事業のためにシステム開発が必要な場合でも、社内にシステム部門がなかったりエンジニアがいなかったりするケースは少なくありません。自社でインフラエンジニアを採用・育成するには、年単位の時間と数百万円以上の費用がかかる可能性も考慮しておく必要があります。

関連記事:SIerに委託するメリットとデメリット|自社に適した判断基準を解説

SIerの企業の成り立ちによって5つの分類がある

分類特徴強み
1.メーカー系ハードウェアメーカーから独立親会社のハード・ソフトを用いた開発が得意
2.ユーザー系大手企業のIT部門から独立親会社の業界やビジネスに精通している
3.独立系SIer事業を目的として設立された企業クライアントの要望にあわせて自由度の高い提案が可能
4.外資系海外IT企業の日本法人海外企業のITサービスを導入しやすい
5.コンサル系ITコンサルティングファームで開発プロジェクトを担当顧客の経営課題や業務改善を企画段階からサポート

上表のように、SIerは企業の成り立ちによって大きく5つに分類されます。それぞれの分類によって得意な領域や特徴があるため、自社の課題やプロジェクトにあわせてSIerの見極めが必要です。

SIerと類似する存在として「ベンダー」と呼ばれる企業もあります。ベンダーの主な仕事内容は、自社で開発したパッケージソフトやハードウェア製品の「販売」です。

SIerが提供するサービスは、他社製品も組み合わたシステム全体の「構築」です。それぞれの企業を以下の観点で使い分けましょう。

  • 「複数の製品」で複雑なシステムを構築する場合はSIer
  • 「特定の製品」で自社の課題を解決できる場合はベンダー

関連記事:SIerとベンダーの違いとは?委託先選びに失敗しない判断基準を解説

【フェーズ別】SIerの仕事内容

SIerの仕事内容は、システム開発の工程(フェーズ)ごとに異なります。とくにSIerのシステム開発は、各工程を上から下へと順を追って進める「ウォーターフォールモデル」が主流です。

ウォーターフォールモデルは、以下3つのフェーズに分かれています。

  • 上流工程(要件定義・設計)
  • 下流工程(開発・テスト)
  • 導入工程(運用・保守)

各フェーズでSIerが担当する仕事内容を理解すれば、自社が重点的に依頼すべきポイントを明確化できます。

上流工程(要件定義・設計)

上流工程は、システム開発における設計図をつくるフェーズです。主に「要件定義」と「設計」の業務に分かれています。

上流工程の業務主な役割
要件定義
  • 顧客の課題をヒアリング
  • システムの機能や性能を文書化
設計
  • 画面や操作方法などを決める「基本設計」
  • システムの内部構造を決める「詳細設計」

SIerの担当者には顧客の業務内容を理解し、潜在的なニーズを引き出すスキルが求められます。顧客とSIerに生じる認識のズレは、以降の工程で手戻りが発生する要因です。

ただし、上流工程を円滑に進めるためには、依頼元の事前準備も欠かせません。たとえば、以下のような資料を用意すると、SIerの業務判断をサポートできます。

  • 自社の業務の流れがわかる資料
  • 解決したい課題をまとめた資料
  • 予算や希望納期をまとめた資料

下流工程(構築・テスト)

下流工程は、上流工程でつくられた設計書をもとにシステムを構築するフェーズです。主に「開発」と「テスト」の業務に分かれています。

下流工程の業務主な役割
開発
  • 設計書にもとづいてプログラムを作成
  • IT基盤を整えるインフラ構築も含む
テスト
  • プログラム単位で動作確認する「単体テスト」
  • 部品同士の組み合わせを確認する「結合テスト」
  • システム全体の動作を確認する「総合テスト」

インフラエンジニアのリソースが不足している企業にとって、インフラ構築まで一貫して依頼できるSIerの存在は魅力的です。ただし、下流工程をSIerに丸投げするのではなく、依頼元にも進捗や品質を管理する姿勢が求められます。

  • 定期的な打ち合わせによる状況確認
  • 開発途中の段階でシステムの動作確認
  • 最終段階で業務を想定した動作確認(受入テスト)

上記のように当事者意識をもって状況や動作の確認に取り組むことが、導入後のトラブルを防ぐ重要なポイントです。

導入工程(運用・保守)

導入工程は、完成したシステムを実際の業務で利用できるように支援するフェーズです。主に「導入」と「運用・保守」の業務に分かれています。

導入工程の業務主な役割
導入
  • システムを本番環境へ移行
  • 既存システムからのデータ移行
  • 利用者への操作研修
運用
  • システムの正常稼働を監視
  • データの定期的なバックアップ
保守
  • システムに発生した不具合の修正
  • 業務にともなう機能の追加・改修
  • システム・セキュリティのアップデート

障害発生時の対応手順や連絡体制について、依頼元もあらかじめ確認しておくと慌てずに対処できます。また、無償で対応を依頼できる範囲や回数など、SIerとの契約内容も事前に明確化しておきましょう。

【SIerを選ぶ前に】知っておくべき委託先の選び方

外部委託先には、SIerのほかに以下の選択肢もあります。

  • SIer
  • SES
  • フリーランス

システム開発を一括で請け負うSIerは、大規模プロジェクトや社内に知見がない企業にとって頼れる存在です。しかし、一時的に人材を確保したい場合や特定の専門技術だけを求める場合には、その他の選択肢がコストやスピード面で優れている可能性もあります。

プロジェクトの規模や求めるスキルなどを明確にしながら、自社にあった委託先を選びましょう。

SIer・SES・フリーランスの違いを理解する

委託先の比較SIerSESフリーランス
契約形態主に請負契約主に準委任契約請負契約
または準委任契約
発注側のメリット
  • 成果物の完成が期待できる
  • 大規模プロジェクトを
    依頼しやすい
  • 必要な期間だけ
    人材を確保できる
  • スポットで依頼しやすい
  • 専門分野に優れた人材を
    確保しやすい
  • 直接契約で
    コストを抑えられる
発注側のデメリット
  • コストが高額になりやすい
  • プロジェクトを
    一貫して依頼しづらい
  • 個人のスキルや
    信頼性の見極めが必要

上表の外部委託先には、以下のような違いがあります。

  • SIerはシステム開発を一括で請け負う「企業」
  • SESはエンジニアの技術力を提供する「サービス」
  • フリーランスは特定のスキルをもつ「個人」

社内に開発チームがなく、プロジェクト全体を外部に任せたい場合はSIerが適しています。一方でインフラエンジニアが一時的に不足している状況であれば、SESやフリーランスの活用が効果的です。

とくにフリーランスには専門性に優れた人材と柔軟に契約しやすい魅力があるため、リソース不足の解決策として注目を集めています。

関連記事:SIerとSESの見分け方|役割の違いからわかる最適な委託先を解説

「契約形態」にあわせて委託先を選ぶ

契約形態は、委託先を選ぶうえで重要な判断基準です。外部委託における主な契約形態は、以下の2種類に分かれています。

契約形態概要主な委託先
請負契約システムの「完成」を目的とする契約SIer・フリーランス
準委任契約業務の「遂行」を目的とする契約SES・フリーランス

システムの企画から運用まで一貫して任せたい企業には、成果物の完成を保証する「請負契約」が適しています。一方で一時的にエンジニアを増員・補強したい企業には「準委任契約」が効果的です。

例えば「AWSを用いたインフラ設計・構築」のように、特定のフェーズや専門スキルに焦点を当てたスポット対応の依頼も可能。とくに専門スキルをもつフリーランスと準委任契約を結べば、プロジェクト全体を依頼するよりもトータルコストを抑えられる可能性が高まります。


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「業務範囲」にあわせて委託先を選ぶ

自社にあった委託先を選ぶためには、依頼したい業務範囲の明確化も欠かせません。とくに依頼したい業務範囲が「特定のフェーズのみ」であれば、全工程をカバーするSIerでなくても対応が可能です。

委託先委託先にマッチする企業
SIer開発チーム全体を外部委託したい企業
SES特定の業務・期間を補うための人材を確保したい企業
フリーランス

人材不足を補う目的で外部委託を検討する場合は、SESやフリーランスのエンジニアをチームに加えるほうが効率的です。人材を必要なフェーズや期間のみ確保できるため、自社のニーズにあわせて柔軟に依頼できます。

また、近年ではフリーランス専門のエージェントサービスも充実しており、クラウドやセキュリティなどの技術領域に特化したエンジニアを効率的に探せます。マッチングのサポートも活用できるので、緊急性の高いプロジェクト対応に急ぐ企業にもおすすめです。


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SIerではなくフリーランス活用が適している3つのパターン

大規模なプロジェクトを総合的に請け負うSIerは、知見やノウハウに不安のある企業にとって頼れる存在です。しかし、プロジェクトの規模や依頼したい工程によっては、フリーランス活用が適しているケースもあります。

とくに以下の観点を求める企業は、フリーランスエンジニアの活用が効果的です。

  • 小~中規模開発でスピードを重視したい
  • 部分的な開発工程だけを外部委託したい
  • ローコストかつハイスキルな人材に依頼したい

関連記事:フリーランスのインフラエンジニアに業務を委託する流れとは?単価相場や注意点も解説

小~中規模開発でスピードを重視したい

小〜中規模のプロジェクトでスピード感を重視したい場合は、フリーランスエンジニアの活用が適しています。

フリーランスであればエンジニアと直接やり取りできるので、契約までの意思決定が短期間で完了するケースも少なくありません。とくにフリーランス専門のエージェントを活用すれば、候補者の選定から契約までのプロセスを数日から数週間で対応できます。

一方でSIerにプロジェクトを委託する場合は、正式な契約に至るまで複数のステップを経由するのが一般的です。そのため、組織でプロジェクトを進めるSIerは、体制構築や社内調整に一定の時間を要する傾向があります。

部分的な開発工程だけを外部委託したい

プロジェクトの一部を外部委託したい場合も、フリーランスエンジニアの活用が効果的です。フリーランスエンジニアであれば、以下のように期間や業務内容を限定したスポット対応も柔軟に依頼できます。

  • データベースの設計と構築を2か月間だけ依頼したい
  • セキュリティの専門家として脆弱性診断だけを依頼したい

また、特定のスキルをもつインフラエンジニアが不足するような状況にも効果的です。不足している専門知識を外部のフリーランスで補いながら、低コストかつ柔軟な開発体制を構築できます。

一方でSIerは、システムの企画から運用・保守まで請け負うのが基本です。そのため「インフラ構築のみ」といった部分的な対応は、範囲が限定的すぎるという理由から依頼自体が難しいケースも少なくありません。

ローコストかつハイスキルな人材に依頼したい

「プロジェクトの品質を担保したいが、予算に限りがある」といったケースにもフリーランスが適しています。

プロジェクト全体を一任できるSIerですが、企業の運営に必要な間接コスト(マージン)が上乗せされるデメリットを考慮すべきです。さらに、SIerがプロジェクトの一部を下請け企業に再委託する場合は、マージンによる費用が大きく上乗せされる可能性もあります。

一方でフリーランスエンジニアと直接契約を結べば、人件費に上乗せされるマージンは発生しません。また、フリーランス専門のエージェントを利用する場合の手数料も、SIerのマージンと比較して低く設定されているのが一般的です。

同じスキルや経験をもつエンジニアに依頼するのであれば、SIerに発注するよりもフリーランスに依頼するほうが全体のコストを低く抑えられます。

関連記事:フリーランスのインフラエンジニアと契約した場合の単価相場とは?|単価交渉のコツも解説

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SIerに業務委託すれば、システム開発からインフラ構築までプロジェクト全体を一貫して任せられます。しかし、自社が求める業務範囲を超えてしまうと、不要なコストが発生する可能性も少なくありません。

まずは自社が「本当に必要な委託範囲」を明確にしながら、場合によっては委託先の選択肢としてSESやフリーランスも検討すべきです。とくに依頼のスピード感やコストを重視したい企業には、柔軟な条件で即戦力を採用しやすいフリーランスエンジニアを活用するのがおすすめです。

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伊藤拓也
記事を書いた人
伊藤拓也

元エンジニアのWebライター。自動車部品工場のインフラエンジニアとして、サーバー・ネットワークの企画設計から運用・保守まで経験。自分が構築したインフラで数千人規模の工場が稼働している達成感とプレッシャーは今でも忘れられない。

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